納豆とビタミンK2

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ビタミンK悪者説

ビタミンKは、1934年にデンマーク人のダムによって発見されました。
現在、13種類あるビタミンの中で、ビタミンKはなじみの薄いビタミンかも知れません。
なじみが薄いだけでなく、ビタミンKにはネガティブな噂がつきまとってきました。
ビタミンKは血液を固まらせるという説が、まことしやかにささやかれています。
ビタミンKの噂を検証してみましょう。

 まず、名前。「ビタミンKのKは、Koagulation(英coagulation、凝固)というドイツ語から命名された」という説があります。ビタミンA、B、C、D・・・は、基本的にビタミンとしての認定順です。昔は、ビタミンFもあったのですが、ビタミンの定義が変わって欠番となっています。ビタミンKのKがKoagulationからきているというのは、明らかに間違いです。
 つぎに、「ビタミンKの発見は、ビタミンKを多く含むクローバーを食べた馬が血栓を起こして死んだことによる」という説があります。馬はクローバーをどれほど食べても死んだりしません。だから、この話も作り話です。もし、ビタミンKが血栓を起こすなら、日本では血栓が多発していたでしょう。なぜなら、伝統的な納豆の食べ方は納豆汁でした。納豆汁では、ナットウキナーゼ活性はなくなりますが、大量のビタミンKは破壊されずに残ります。しかし、納豆汁で血栓が起きることはありませんし、血液に異常が生じることもありません。ビタミンKは凝固因子の形成にかかわりますが、凝固因子そのものではありません。
 ビタミンK悪者説に拍車をかけたのが、ワーファリンとの相互作用です。ビタミンKは抗凝固剤ワーファリンの効き目を消失させます。凝固因子\、]などの原料となるのがビタミンKです。ワーファリンは、ビタミンKが凝固因子となるのを妨げます。ワーファリン服用中の患者がビタミンKを大量に摂取すると、ワーファリンの効き目がなくなるのです。ワーファリンを服用している患者さんは、血栓ができやすい状態にあります。その状態でワーファリンの働きをなくすと、血栓ができてしまうことが多いというわけです。このため、ビタミンKが血栓を生じさせると誤解されました。血液が固まる仕組みもご参照ください
 

納豆とビタミンKの絶妙なコンビ

  ナットウキナーゼには、血栓溶解剤ウロキナーゼの数倍の血栓溶解力があります。これほど強力な物質には、副作用があって当然です。しかし、納豆には副作用はありません。これは実は非常に不思議なことです。納豆に副作用がないのには、2つの理由が考えられます。
 その一つが、ナットウキナーゼとビタミンKのコンビネーションです(もう一つの理由は別の機会に)。納豆菌はナットウキナーゼといっしょに必ずビタミンKを産生しています。つまり、ナットウキナーゼだけ産生する納豆菌はありません。ナットウキナーゼにより血栓を溶かす働き(線溶系)が強まります。しかし、血液が固まらないと不都合なことも多いのです。たとえば、体の中の小さな傷から出血があると、それを止める必要があります。その時は血液を固まらせる働き(凝固系)が、しっかり作用しなくてはなりません。ナットウキナーゼを摂取するときには、ビタミンKが体に十分ある状態にしておくことが必要なわけです。水をたっぷり用意して焚き火をすれば、火事になることはありません。ビタミンKが用意されているから、ナットウキナーゼが安全に作用するというコンビネーションがあるのです。
 納豆には大豆イソフラボンとビタミンKが含まれています。これもまた、絶妙のコンビです。大豆イソフラボンには骨からカルシウムが溶出するのを押さえる働きがあり、ビタミンKにはカルシウムを骨に固着させる働きがあります。つまり、イソフラボンとビタミンKのコンビは、強い骨を作るために協力しあっているのです。
 余談になりますが、納豆には他にも絶妙なコンビが見られます。自然のすばらしい贈り物だと感じずにいられません。ナビオは自然の納豆の良さにこだわった製品作りをしています。
骨を強くするビタミンK2

 日本は世界一の長寿国です。お年寄りになると骨量が減少し、骨折しやすくなるのは避けられません。これは世界共通です。ところが、日本のお年寄りは欧米のお年寄りと較べて、骨折率は低くなっています。なぜでしょうか?
 欧米人の食生活と日本人の食生活を比較してみると、日本人ではカルシウムの摂取量が少なくなっています。これには牛乳の摂取量が関係していて、日本のお年寄りのカルシウム摂取量はおそらく欧米よりかなり少なくなっているものと考えられます。実際、日本の高齢者の骨塩密度は欧米人より低くなっています。日本人の骨塩密度が低いにもかかわらず、骨折率は低い。この謎を解く鍵がビタミンK2です。
 脊椎圧迫骨折の女性患者について調査した興味深い報告があります。脊椎圧迫骨折のある患者とない患者について、血中のビタミンK濃度を測定してみました。ビタミンK1について両者に差はほとんどありませんでしたが、ビタミンK2については骨折群が非骨折群の約2分の1でした。
 血中のビタミンK2濃度と納豆食の関係を示唆する調査もあります。ロンドン・広島・東京の女性のビタミンK2濃度は、1:4:16となっていました。調査対象の広島の女性の9割以上が、納豆を食べるのは週1度以下でした。東京の女性では、半数の女性が週に2度以上納豆を食べていました。そこで、納豆摂取とビタミンK2濃度の関係を調べるために、週に1食未満、週に1食、週2食以上の3グループ(広島と東京在住の女性)について、ビタミンK2濃度が調べられました。その結果、3グループのビタミンK2濃度は、それぞれ1: 1.5 : 5.4でした。
 以上のことから、納豆を食べる女性では血中のビタミンK2濃度は高く、ビタミンK2濃度の高い女性では骨折が少ないのではないかという推測が可能です。
(Masao KANEKI, Serum vitamin K concentration and Osteoporosis; The study on the large regional difference in serum vitamin K level, on the effect of Natto intake, and on its association with the fracture incidence of femoral neck.)
ビタミンK2の効果についての臨床試験

 東京大学医学部の折茂肇は以下の報告を行っています。
「80人の患者を2グループに分け、ビタミンK2を45mg/日と擬薬をそれぞれ6ヶ月間投与して中指骨骨密度を測定した結果、明らかにビタミンK2を投与した群では骨密度の上昇を認めた
 また、546人の患者を2グループに分け、ビタミンK2の対照薬としてアルファカルシドール(日本では非常によく使われているビタミンD活性剤でオステオプロシスの効果があると認められている薬剤)を1.0μg/日投与し、中指骨の骨皮質幅の変化を48週間調べた結果、アルファカルシドール投与群では低下傾向であったのに対してビタミンK2投与群では上昇傾向にあった。さらに骨密度の変化を調べてもビタミンK2投与群の方が状態がよく、骨量の減少防止に効果があり、アルファカルシドールよりもビタミンK2の方が優れていることが明らかにされた。
 以上、納豆に含まれるビタミンK2は骨吸収と骨形成の両者に関係し、臨床実験でも骨量増加作用が確認されαカルシドールとの比較実験では活性型ビタミンDよりも効果の優れていることで、これからが期待されている。」
(講演記録「ビタミンKによる骨粗鬆症治療」) 
ビタミンK2が骨を強くするメカニズム

 ビタミンKと骨の関係を知るには、まず骨の生理を知っておく必要があります。ビルの鉄筋は、新築時の状態で長い間建物を支えます。骨もビルの鉄筋と同じように人の体を支えている、このようなイメージがあるのではないでしょうか?しかし、それは間違いです。骨はビルの鉄筋と違って、かなり活発に代謝を繰り返しています(骨代謝回転)。つまり、骨芽細胞が新しい骨を作り続けると同時に(骨形成)、破骨細胞による古い骨の破壊が行われています(骨吸収)。骨形成と骨吸収のバランスが取れていると、骨はいつまでも健康というわけです。
 骨吸収(骨の破壊)が盛んなために骨量が減少する場合には、エストロゲン・カルシウム・カルシトンなどが有効です。骨形成が落ちて骨量が減少する場合には、ビタミンK2・カルシトニンなどが有効です。活性型ビタミンDには、骨の代謝を調整する働きがあります。
 ビタミンK2が骨形成に寄与するのは、オステオカルシオン(γカルボキシグルタミン酸)の合成にビタミンK2が必要だからと考えられています。オステオカルシオンはカルシウムを骨に貼り付ける糊の役目を果たします。
 以上のようなメカニズムがわかってきたのは、ここ数十年のことです。そこで納豆が注目されるようになりました。納豆には骨吸収を抑制する大豆イソフラボンと骨形成を促進するビタミンK2の両方が含まれています。納豆は高代謝回転型(更年期の女性に多い)の骨量減少にも、低代謝回転型(高齢者に多い)の骨量減少にも、効果のある食品です。


ビタミンK2についての最新の研究(英語)は、こちら(SpringerLink)など電子ジャーナルでvitaminまたはmenaquinoneをサーチして下さい(フルテキストを読むには登録が必要)。
 

赤ちゃんからお年寄りまで

  悪者扱いされることもあるビタミンKですが、実際は上に見てきたようにとても重要なビタミンなのです。ビタミンKの所要量は成人男性で65μg、成人女性で55μgです。許容上限は30000μgですから、通常の食生活で摂りすぎが問題となることはまずありません。ブロッコリーやホウレン草などの野菜にはビタミンK1が、納豆にはビタミンK2が含まれています。また、ビタミンKは腸内細菌によっても作られています。
 健康的な食生活をしていれば、ビタミンK欠乏症はまず起きません。ビタミンK欠乏症は腸内細菌によるビタミンKの供給がストップした等に問題となります。たとえば、抗生物質で腸内細菌叢が乱れたとき等です。また、ビタミンK産生微生物が腸内にいない新生児でも問題になります。現在では、ビタミンK欠乏による頭蓋内出血を防止するために、ビタミンKシロップが投与されています。ビタミンKは現代人が最初に投与される薬といってもいいでしょう。
 余談になりますが、秋田県地方ではお産の2週間前くらいから納豆を食べるようにとの言い伝えがあったそうです(須見洋行『血栓を防ぎ骨を強くする納豆のネハネバ効果』)。納豆のビタミンK2は、胎盤を通して胎児に移行することが明らかになっています。納豆は新生児の頭蓋内出血防止に有効だと考えられます。ビタミンKシロップがなかった時代の生活の知恵で、このことに気づいていたのかも知れません。
 通常の生活で、ビタミンK欠乏による出血は起きません。この点は問題ないのですが、骨の健康を維持するためには、ビタミンKの積極的摂取が考えられてもよいでしょう。骨粗鬆症の予防という観点から、ビタミンKの重要性が見直されています。
東洋医学の思想と納豆

 西洋医学は病気(症状)を研究対象としてきました。病気(症状)の起こるメカニズムを解明して、それを抑える薬剤を開発してきたといえます。西洋医学は病気との闘いに大きな成果を上げてきたといえます。
 納豆を西洋医学的な観点から捉えることもできます。納豆に含まれるナットウキナーゼは、血栓を溶かす力を持っています。ビタミンK2は、骨形成に寄与します。このように考えれば、ナットウキナーゼやビタミンK2を抽出して薬剤として使用することが考えられます。
 しかし、それではせっかくのスゴイ納豆を普通の薬に変えてしまうように感じます。西洋医学の関心が病気(症状)にあったとすれば、東洋医学の関心は健康にあったといえるでしょう。人間の自然な状態は健康な状態である、これが東洋の思想です。「元気」は元来の自然な状態を意味します。自然な状態が失われた状態が、「病気」です。元来の自然な状態を取り戻すためには、どうすればよいのか。このように考えてきたのが、東洋医学の思想です。
 人間には血液を固まらせる作用と溶かす作用の両方が備わっています。骨を作る作用と壊す作用の両方が備わっています。健康な状態とは、この両方の作用がバランスを保っている状態です。病気はバランスが失われた状態です。西洋医学では、両者のバランスを均衡させようとします。東洋医学では、バランスの乱れが起きる体質を改善しようとします。体質を改善するには、2つの作用の両方を強力にします。両方とも強力だと、バランスの乱れは起きにくくなります。このように考えると、納豆はまさに東洋医学の思想を体現しているような食品です。
 (株)ナビオは納豆の良さを知り尽くして、それを製品に生かすよう努力しています。
 

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