ここは「ピルとのつきあい方」旧バージョンの保存ページです。
「ピルとのつきあい方」は1999年に開設されたピルに関するホームページで、
経口避妊薬ピル導入期の日本で貴重な情報源として利用されてきました。
当サイトをオリジンとする情報も少なくありません。
たとえば、緊急避妊に関する情報は当サイトによって広まりましたし、
「飛ばし飲み」も当サイトが用いた用語です。
旧バージョンの内容は基本的に現在でも通用する内容ですが、
ピルの利用環境が変化しましたので、
リニューアル版に移行します。
「ピルとのつきあい方」を模したサイトや換骨奪胎サイトが存在しますので、
オリジナルバージョンを保存しておきます。

「ピルとのつきあい方」リニューアルバージョンはこちらです。

 
生理を軽くする効果について
ピルとのつきあい方(表紙)ピルとのつきあい方(目次)生理日110番メール

諦めちゃダメ!/
機能性月経困難症/
器質性月経困難症/
PMS月経前症候群/
健康増進へのその他の寄与/

生理日110番(別ページ)
ホルモン環境の変化による副作用・副効果(別ページ)



諦めちゃダメ! 
 以前、同じ職場に勤めていたある友達は、生理不順で、量も相当多いとのこと。夜用のナプキンを昼間も使っているのは、ほんとうに気の毒でした。ピルは生理を軽くする効果がすごくあったみたいで、彼女には大変喜んでもらえました。ピルの服用で多くの方は、経血量が減少します。
 しかし、経血量よりももっと深刻なのは生理痛。生理痛は半数以上の女性にみられ、10%前後の方はかなり重症だといわれています。ピルは生理痛に顕著な効き目を発揮することがあります。下の表は、日本の臨床試験のデータです。
ピルの服用と月経異常発生のオッズ比
異常の種類 OC服用者 非服用者 オッズ比
  過多月経 12.48 23.82 0.52
  月経困難症 3.87 10.43 0.37
  月経不順 5.19 7.92 0.65
  中間出血 3.04 4.23 0.72
 月経困難症についてみれば、ピルの服用で約1/3に減少しています。痛み止めを大量に飲んだり、寝込むような重症の生理痛も、ピルの服用できれいに解消することがあります。
 生理痛は女性の宿命だと諦めていませんか。ピルとお友達になれば、長年の生理痛と縁を切ることが出来るかもしれません。

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機能性月経困難症

 【原因】

 月経困難症のうち、その基礎をなす病的原因が見られないものを機能性月経困難症と呼びます。 
 生理痛の多くは機能性月経困難症であり、ほとんどのケースで思春期に始まります。思春期には無排卵であったために感じられなかった痛みが、排卵が順調になるにつれてひどくなることもあります。年齢を経るにしたがって、また出産を経験することによって、症状が軽減することもあります。 
 機能性月経困難症の痛みには、プロスタグランジンという物質が関係しています。プロスタグランジンは出産の時に子宮を収縮させる物質です。生理は小さなお産と同じなのです。プロスタグランジンが分泌されると子宮は収縮して経血を排出しようとします。プロスタグランジンが強く作用しすぎると、子宮が強く収縮して子宮の内層(子宮内膜)への血液供給が減少するために痛みが生じると考えられています。
 痛みの強弱に関係するものに、子宮頸管の広狭があります。頸管の疾患の治療の後のように子宮頸管が狭いときには特に痛みがひどいことが知られています。月経の間に排出された子宮内膜の組織が子宮頸部を通過するときにも悪化します。痛みを悪化させる可能性のある他の因子には、子宮が前方ではなく後方に傾斜したもの(後傾子宮)、運動不足、そして心理的あるいは社会的ストレスが含まれます。 
 出産により生理痛が軽減することがあるのは、子宮頸管の広狭と関係しています。子宮頸管が狭いと経血が押し出されにくいので、子宮を収縮させる大きな力がかかります。そのため、痛みがひどくなるのです。
 プロスタグランジンは子宮を収縮させるだけでなく、血管を収縮させます。生理の時の頭痛は、血管の収縮によって起きると考えられています。

【治療】

 生理痛については、鎮痛剤から漢方薬に至るまで様々な治療法が取られています。その中で、鎮痛剤はポピュラーで効果もある方法です。市販の生理痛の薬にも、プロスタグランジンを減らす成分が含まれています。生理痛がプロスタグランジンによって引き起こされていることからすれば、正攻法の治療法といえるでしょう。
 プロスタグランジンが痛みの原因ならば、その分泌そのものを抑えればよいのではないかということになります。ピルはまさにそのように作用するのです。無排卵月経では痛みがなかったり軽かったりすることがあります。排卵がなければ、プロスタグランジンの分泌は抑えられます。ピルを服用すれば排卵は起こりません。休薬期間に起きる生理(消退出血)は、黄体ホルモンの減少によって人工的に起こされる出血です。生理(月経)とは異なり、プロスタグランジンは多くなりません。休薬期間中の消退出血ではプロスタグランジンが効きすぎることがなくなるので、生理痛が軽くなるというわけです。 
 ピルの服用によって、子宮頸管の広狭は変わりませんが、経血量の減少や経血の粘着性が低くなる(サラサラとした経血になる)ことは、生理痛の軽減にプラスに作用します。

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器質性月経困難症
 【原因】

 何らかの病的原因が潜んでいる場合、器質性月経困難症と呼びます。病的原因としては、子宮内膜症・子宮筋腫・子宮腺筋症(子宮の内層による子宮の筋肉壁への非癌性浸潤)・卵管の炎症・異常な線維性の器官間の連結(癒着)などがあります。原因により痛みの部位・痛みの種類・痛みの時期が異なります。しかし、いずれの痛みも生理期間中に悪化する傾向があります。器質性月経困難症については、悪性腫瘍などが潜んでいることもあるので、婦人科で原因を明確にする必要があります。

【子宮筋腫】

 器質性月経困難症の中でも多いものが、子宮筋腫と子宮内膜症です。子宮筋腫は女性の1/3ほどが経験するポピュラーな疾病です。子宮筋腫の治療に海外では、低用量ピルが当然のことのように使われています。ところが、なんと日本では子宮筋腫はピルの絶対禁忌に指定されてしまいました。おそらく、世界中で子宮筋腫がピルの禁忌に指定されている国は日本だけでしょう。エストロゲンは筋腫を増大させる危険があるというのがその理由です。もし、本気でそのように考えているなら中用量ピルを禁忌に指定すべきでしょう。中用量ピルは相対禁忌(慎重に使う)なのに、低用量ピルは絶対禁忌(使用禁止)なのは不合理です。このような不合理は、低用量ピルを「半解禁」状態にする政治的意図から生じました。詳しくはこちら

 「ピルとのつきあい方」では、この問題をいち早く取り上げてきました。現在、子宮筋腫の禁忌指定見直しを求める運動が行われています。

【子宮内膜症】

 器質性月経困難症の原因で大きな比重を占めているのが子宮内膜症です。生理痛が年々ひどくなる場合は、子宮内膜症がもっとも疑われます。子宮内膜症は近年増加傾向にあると言われています。子宮内膜症は、本来子宮内膜にしかみられないはずの組織が、他の部位に発生するものです。 
 低用量ピルは、海外では子宮内膜症のポピュラーな治療法です。日本では長年低用量ピルが認可されなかったために、世界標準の治療法とは異なる治療法が取られてきました。中用量ピルが使われることもありますが、低用量ピルが使われることは極めて稀です。海外で低用量ピルが使われてきたのは副作用が少ないというだけでなく、エストロゲンの少ないピルが子宮内膜症に適していると考えられているからです。日本の医師がこのことを知っていても、低用量ピルは治療薬として認められていないために使いにくいという事情があります。結果として、子宮内膜症の治療薬としてピルが使われる場合、依然として中用量ピルが使用され続けています(正式に子宮内膜症の治療薬として認可を受けている中用量ピルは1種類だけ)。
 ピルは内膜症が広がるのをくい止め、症状を緩和する作用があります。内膜症の初期から使えば、手術が必要になるほど悪化しないことも多いといわれています。低用量ピルがもっと早く解禁されていたら、ピルについての情報がもっと普及していたら、と思うと残念でたまりません。
多くの女性の苦しみを救うことが出来るのに、なぜ?なぜ?なぜ?と思わずにはいられません。
ほんとうに悲しくなります。

 「ピルとのつきあい方」は、子宮内膜症の治療に低用量ピルが有効な一手段と考えています。低用量ピルが子宮内膜症の初期段階で使われるようになれば、女性の健康に大いに寄与すると思います。実に多くの女性が子宮内膜症で苦しみ、副作用の強い治療を受け、さらには手術に追い込まれている現状は異常です。ピルの認可・普及に反対してきた方々は、多くの女性を非常な苦しみに追い込んできたことをじっくり考えてみてほしいと思います。

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月経前症候群(PMS)
 月経前症候群(PMS) は、排卵期から生理が始まるまでの間に生じる様々な不快な症状をいいます。身体的症状もあれば、気分的・精神的症状もあります。
 身体的症状としては、腰痛・腹部膨満・腺の張り及び胸痛・食欲の変化・便秘・めまい・失神・頭痛・骨盤領域における重い感覚、または圧痛・顔面潮紅(ホットフラッシュ)・不眠・活力不足・悪心と嘔吐・強い疲労・皮膚の問題、例えばざ瘡及び限局した掻爬皮膚炎・組織腫脹または関節痛・体重増加などの症状があります。
気分的・精神的症状としては、興奮・怒り・抑うつ・いらいら・気分変動・神経質・錯乱・集中することが困難・記憶喪失、健忘などがあります。
 月経前症候群のメカニズムは十分わかっているとは言えませんが、月経周期の間に生じる卵胞ホルモンと黄体ホルモンのそれぞれのレベルが変化することと関係すると考えられています。他のホルモンや代謝の変化が関与している可能性も指摘されています。
 月経前症候群(PMS)の治療にも、海外では低用量ピルは使われています。低用量ピルにより、ホルモン変動を起こさせないことが好結果につながることがあります。日本で販売されている1相性ピルが1種類であることは、PMS治療への低用量ピルの使用を困難にしています。
PMS治療については、それぞれの体質にあったピルを選択することが重要になります。
 なお、排卵痛もPMSの一種と考えることが出来ますが、ピルの服用により排卵痛はなくなります。

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健康増進へのその他の寄与 
 低用量経口避妊薬(ピル)の承認に関する中央薬事審議会の「経口避妊薬(OC)の有効性についてのとりまとめ資料」では、ピルの服用により、月経異常の減少・鉄欠乏性貧血の減少・月経困難症の減少などの副効果が期待できることを以下のように指摘しています。
 ピルを服用することにより、周期は規則的となるので、月経不順の人でも正常周期となります。
 エストロゲン作用によって子宮内膜の腺上皮の増殖が非服用時に比較して抑制されるために、内膜の剥離時に失われる血液量が減少します。経血量の減少については、日本での臨床試験においても確認されています。この経血量の減少により女性特有の鉄欠乏性貧血の予防が期待されるのです。
 ピルが月経困難症の症状を軽減することは、古くから知られており、発症を1/3に減少させると報告されています。このメカニズムについては、OC服用により排卵が抑制されること、子宮内膜の増殖が妨げられることが報告されています(原文をですます体になおしています)。
注)このページの記述については「メルクマニュアル」を参照した。「メルクマニュアル」については、こちらのリンクから。

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