いざというときの緊急避妊法

ピルとのつきあい方(表紙)ピルとのつきあい方(サイトマップ)メール
モーニングアフターピルって何?/
ピルをモーニングアフターピルとして使えるの?/
病院探しと費用/
モーニングアフターピルを服用する際知っておいてほしいこと/
モーニングアフターピルの避妊効果/
120時間までなら有効?/
モーニングアフターピルを服用した後/
緊急避妊法についての諸情報/
いざというときにはお友達に/
海外の緊急避妊薬事情/

確実な避妊法について(別ページ)



 

モーニングアフターピルって何?

 「えっ。出しちゃったの。どうしてくれるの。」って、私は言ったことはありません。でも、いつでも、たれかが、どこかで言っているような。後はひたすら、「生理よ来い、生理よ来い」と祈ります。これって、どうにかならないのか、っていうのは人類の夢でした(大袈裟)。このような問題を解決するために開発されたのが、モーニング・アフター・ピルといわれる薬です。 
 事後の緊急避妊薬としては、プリベンという商品があります。いわゆるモーニング・アフター・ピルといわれる薬で、日本では販売されていません。インターネット上では、1セット1万円弱が相場になっています。いざという時の保険代と思えば、こんな値段なのでしょうか。 
▲このページ先頭
ピルをモーニングアフターピルとして使えるの?
 ところで、プリベンは性交後72時間以内に2錠を服用し、さらに12時間後に2錠を服用します。このプリベンは、1錠中にエチニルエストラジオールを0.05 mg とレボノルゲストレルを0.25 mg含んでいます(2錠中それぞれ0.1mg、0.5mg)。
中用量ピルや低用量ピルでも、服用錠数を調節すればほぼ同用量を摂取することができます。

 そこで、第2世代ピル (トライディオール・トリキュラー・リビアン・アンジュ)の場合、性交後72時間以内に第3相の錠剤4錠を直ちに服用し、さらに12時間後に同様に4錠をを服用します。第3相の錠剤4個がプリベンの2錠と近似値になります。
第3世代ピルマーベロン(marvelon)の場合、性交後72時間以内に3錠服用し、さらに12時間後に3錠を服用します。
中用量ピルの場合、2錠がプリベンの2錠と近似値になります。

 これでプリベンと同じ効果が得られると思います。下の表は1回目に服用する錠数をまとめたものです。2回目は12時間後に同じ量を服用します。
 第1世代ピルの場合、近似値を作るのが難しい(*~*:)。)第一世代ピルについては、一応ということであげていますが、お奨めではありません。どうしてもエストロゲンの量が増えてしまい、嘔吐などの副作用も強くなりすぎます。
 なお、ピルの緊急避妊薬への転用は、日本ではあまり知られていませんが、FDA公認の方法です。英語サイトを参考までに。
 
製品名 1回目服用量(2回目も同量) 備考 E:P/回(mg) 
マーベロン 白3錠 0.09mg:0.45mg
オーソM(第一世代ピル) 橙3錠〜橙4錠 0.105mg:3.00mg〜0.14mg:4.00mg
エリオット(第一世代ピル) 白2錠橙2錠 0.14mg:3.00mg
オーソ777(第一世代ピル) 淡橙色2錠橙2錠 0.14mg:3.50mg
ノリニール(第一世代ピル) 白2錠青2錠または白4錠 0.14mg:3.00mgまたは0.14mg:4.00mg
シンフェーズ(第一世代ピル) 白2錠青2錠または白4錠 0.14mg:3.00mgまたは0.14mg:4.00mg
トライディオール 黄色4錠 0.12mg:0.50mg
トリキュラー 黄色4錠 0.12mg:0.50mg
リビアン 黄色4錠 0.12mg:0.50mg
アンジュ 黄色4錠 0.12mg:0.50mg
ドオルトン(中用量ピル) 白2錠 0.10mg:1.00mg
プラノバール(中用量ピル) 白2錠 0.10mg:1.00mg
ソフィアA(中用量ピル) 白2錠 0.10mg:2.00mg
第一世代ピルについては、一応ということであげていますが、お勧めではありません。中用量ピルについては例示。 

▲このページ先頭

病院探しと費用
 中用量ピル・低用量ピルの緊急避妊薬としての転用については、処方してもらえる病院を探すのが大変です。「10ヶ所以上当たってやっと処方してもらえた」という事もあるようです。「日本家族計画協会クリニック」(03-3269-4727または03−3267−7776)では、処方してくれる病院を教えてくれるようです(ただし評判はまちまち。リンク集の病院にも当たってみて下さい)。このページをプリントアウトして持参したら処方してもらえたという例もあります。
 病院では、モーニングアフターピルといっても理解してもらえないことがあるでしょう。緊急避妊法・事後避妊法・ヤッペ法といえば理解してもらえるかもしれません。どのように言っても理解してもらえない場合には、中用量ピルまたは第2世代の低用量ピルを処方してもらってください。
 かかる費用は病院によってまちまちです。私が集めた情報の中でもっとも安いところでは400円、最も高いところでは38000円でした。1万円以下であれば、妥当といえるかもしれません。

緊急避妊法の処方をしている病院リストを作成していきたいと思っています。情報をお寄せ下さい。
「かなしいこと」HPの病院リストも参考になさってください。

▲このページ先頭

モーニングアフターピルを服用する際知っておいてほしいこと
 低用量ピル・中用量ピルを緊急避妊薬として使用する際、知っておかねばならないことが3つあります。
1つ目は、既に妊娠していないことを妊娠検査薬で確かめて下さい。以前の性交渉で既に妊娠していれば、緊急避妊薬としての効果は当然ありません。
2つ目確実性に乏しいと言うことです。プリベンの妊娠回避率は、75%程度とも言われています(失敗率は2%、パールインデックス換算26)。絶対視することは危険です。失敗率についてはこちらを参照のこと
失敗する原因の一つに副作用のため嘔吐してしまうことが挙げられます。吐き気止めを同時に服用したり、服用後すぐ寝てしまうなどの対策を考えましょう。もし、服用後すぐに嘔吐してしまったら、飲み直すようにします。直後に飲み直すか、12時間間隔をあけた3回目の服用をするかは、状況によりますから主治医の先生とご相談してみましょう。
3つ目は、副作用が強いということです。中用量ピルと比べて4倍、低用量ピルに比べて8倍の用量になりますから、かなりキツイと考えて下さい。吐き気など服用中の副作用だけでなく、血栓症などの副作用もそれだけ高くなると考えておいた方がよいでしょう。
モーニングアフターピルは、あくまで緊急避難的な方法であり、普段から避妊の事をしっかり考えるようにしましょう。
なお、低用量ピル服用途中に飲み忘れなどがあり服用を中止した場合には、服用を中止するだけで緊急避妊法と同じ効果が得られることがあります。生理日を調整する方法について書いたページの「生理日を早めたい場合」も参照してください。

※ピルを緊急避妊薬として用いる処方法については、ご存じでない産婦人科医もいます。
以下のような処方例もあるようですが、私としては疑問に思っています。
@用量過多
中用量ピル4錠+中用量ピル4錠の処方がなされる例があるようです。
一日あたりのエストロゲン摂取量が400マイクログラムにもなり、危険だと思います。
また嘔吐も起きやすく、失敗の原因になる可能性があります。
A服用間隔
24時間間隔での服用を指示している例があるようです。
使用される中用量ピルの種類によっては、12時間間隔と効果の差はないかもしれません。
しかし、12時間間隔の服用法が取られているのには、理由があります。
血中のプロゲストーゲン濃度は第1回目の服用後2時間程度でピークとなり、下降し始めます。
12時間後の服用で第1回目のピークより高い第2回目のピークが出現します。
より高いプロゲストーゲン濃度のピークを形成させるためには、12時間間隔の服用がベターではないかと思われます。
B86時間以後の服用
緊急避妊法は72時間までなら可能とされています。
この72時間の意味は以下の通りです。
72時間後に第1回目を服用すると、第2回目の服用は86時間(3.5日)後になります。
消退出血がその3日後に来るとすると、性交渉から6.5日後になります。
これで受精から着床までに要する7日間より早く消退出血を起こさせることができます。
つまり、「72時間以内」は着床より早く消退出血を起こさせるために逆算した数字です。
86時間以後に2回目3回目の服用を指示している例があるようですが、
これでは消退出血が起きる前に着床してしまいます。

※排卵日まで数日のゆとりがあると判断される場合には、排卵日を遅らせる処方を組み合わせることも可能です。
この処方は日本では知られていませんが、場合によっては有効です。

▲このページ先頭

モーニングアフターピルの避妊効果
 モーニングアフターの避妊効果はどれくらいあるのでしょうか。PREVENの添付文書には以下のように記されています。

【PREVEN の効果についての説明(添付文書)】
ある月に100人の女性が緊急避妊薬を正しく使ったならば、、その内の約2人が一度の性交渉後に妊娠します。何らの避妊法も取らなければ、一度の性交渉後に約8人が妊娠します。このことは、避妊なしの性交渉があり緊急避妊薬が使用されなかった場合に予想される妊娠の数を、緊急避妊薬が75%減少させたことになります。
避妊なしの性交渉後24時間以内に緊急避妊薬が服用された時に効果は最大であり、それに続く24時間の服用ではいくぶん効果が減少していくことを、ある臨床試験は明示しています。

避妊なしの性交渉後72時間以内に取られた処置で妊娠の危険を少なくとも75%減少させます。

 妊娠回避効果は75%、妊娠する確率は2%となっています。つまり98%の方は妊娠しないということになります。
添付文書の数字とは別に、事後避妊薬の妊娠回避率については、さまざまな数字が報告されています。 
なぜばらつきがでるかというと、排卵と服用のタイミングのかねあいに差があるからだと思います。最も妊娠可能性の高い時期であったり、服用時刻が遅れたりすれば、妊娠確率は高くなるでしょう。しかし、最悪の条件でも避妊効果があることは明らかです。
日本では認可されていないこともあって、妊娠回避効果についての文献もほとんどないと思います。
もっと詳しい情報が必要なら英語サイトですが、 
http://opr.princeton.edu/ec/ec.html
のリンクが便利です。 

▲このページ先頭

120時間までなら有効?
American Journal of Obstetrics and Gynecology,March 2001 Vol.184-4には、120時間までなら有効であるとの報告がなされています。以下にそのアブストラクト。英文はこちら

無防備の性交72〜120時間後の緊急避妊薬の有効性
目的: 本報告は、現行のモーニングアフターピル処方期限の延長を提案し、それによって30年間以上にわたって十分に確立されている医療に問題を提起するものである。性交の72から120時間後に処方された場合のYuzpe−Lancee法の有効性を決定することが研究の目的である。 
研究方法: 私たちは、Yuzpe−Lancee法が無防備の性交の後に施された2群の女性を比較する観察研究を行なった。1つは72時間以内に受診したグループ(通常時間枠内処方群)である(131例)。そしてもう一つは72から120時間後に受診したグループ(時間枠拡張処方群)である(169例)。
結果: 72時間以内の処方群で妊娠率は0.8%であった。72〜120時間後処方群では1.8%であった。72時間以内の処方群では87%から90%までの有効性率であり、72〜120時間後処方群では72%から87%までの有効性率であった。両群のカイ2乗検定は、緊急避妊薬が明らかに妊娠の危険を減少させたことを示した。 
結論: 女性は無防備の性交の後できるだけ速く受診するように勧められるべきだ。しかし、通常のタイム・リミット(72時間以内)が過ぎてしまっても、避妊リングが利用できない場合にはいわゆるモーニングアフターピルが勧められるべきである。緊急避妊薬は72時間後でも高い成功率を持っており、緊急避妊薬が行われない場合の予想妊娠率と較べ明らかに低い妊娠率となる。(Isabel Rodrigues, et al,Effectiveness of emergency contraceptive pills between 72 and 120 hours after unprotected sexual intercourse, American Journal of Obstetrics and Gynecology,March 2001 Vol.184-4 )    (2001.4.13加筆)

 

▲このページ先頭

モーニングアフターピルを服用した後
 モーニングアフターピルの服用によって、体内の黄体ホルモン濃度が急激に上昇し、次いで急激に低下します。この急激な低下により、早ければ3・4日後に消退出血(生理)が起きます。これで緊急避妊法は成功ということになります。
 ところが、消退出血(生理)の時期は1週間後のこともありますし、通常の生理の時期までないこともあります。黄体期に入ってから(排卵後)の緊急避妊法では、すぐに消退出血(生理)が来ないことが多いように感じています。ご心配な気持ちは分かりますが、しばらく待つよりほかありません。3週間待って消退出血(生理)が来なければ、妊娠検査薬を試してみる必要があります。
 消退出血(生理)が来ても来なくても、緊急避妊法実施後の排卵は、予測がつきません。自然の生理が来るまで確実に避妊なさるようにお願いします。
 服用後しばらくの間、血栓症の初期症状などが出ないか健康状態には注意を払いましょう。

▲このページ先頭

 
緊急避妊法についての諸情報(2001.4.19追加)
 緊急避妊法についての情報が普及するにつれ、誤解を生むような情報も意図的・無意図的に流されるようになりました。そのいくつかについてのコメントを追加します。

【失敗率が高い?】

 「ピルとのつきあい方」では、妊娠回避率と妊娠率(失敗率)を区別して示してきました。しかし、この2つを混同して、失敗率が高いという情報が流れています。
 妊娠回避率が75パーセントであるから、25パーセントは妊娠するというのは誤解です。緊急避妊法を取ったにもかかわらず妊娠するのは、文献上2パーセントです。緊急避妊法をとって、妊娠する確率が2パーセントを超えることはありません。これよりも低い数字になっているデータもたくさんあります。失敗率10パーセントとか20パーセントとしている記述を見かけることがありますが、正しく緊急避妊法が行われていないか、妊娠回避率の意味を誤解しているかでないと、そのような数字にはなりません。日本の事情に照らして考えると、「成功率」は99%以上になるかもしれません。
 緊急避妊法は「薬の組成から考えてそんなに効くものとは考えがたい。」などの俗説が、権威あるサイト?から流されているのは、残念なことです。

【緊急避妊法は中絶と同じ?】

 緊急避妊法による避妊効果は、着床阻止だけではありません。排卵抑制効果や受精卵の移動速度低下も含めた効果です。重要なことは、着床(妊娠成立)後には、効果がないということです。もともと受精卵は必ず着床するものではなく、受精したが着床しないことは少なくありません。自然の状態で受精卵が着床しなくても、そのことに気づかれることはないといってもよいでしょう。もし、受精が妊娠というならば、多くの女性は知らず知らず妊娠を繰り返しているということになります。
 たとえ受精しても着床前であれば、妊娠とはいえないわけで、緊急避妊法は中絶薬とは本質的に異なるものです。

【失敗したとき胎児へ影響?】

 緊急避妊薬は失敗した場合、胎児に必ず奇形を生じさせるなどという情報が流れています。この点について、プリベンの添付文書には、以下のように書かれています。

妊娠に気づかないで混合経口避妊薬を服用し続けた女性についての研究は、混合経口避妊薬が胎児に対するいかなる有害リスクの増加とも無関係であることを示している。緊急避妊法で使用される同じまたは類似の薬剤が、確立した妊娠に悪影響を持つことはありえないだろう。
緊急避妊失敗後に生まれた子どもについて追跡したイギリスのデータは、先天奇形の増加を示していない。

 緊急避妊薬の催奇性の問題は、アメリカで緊急避妊薬が承認される際に慎重に検討されました。緊急避妊薬を服用するのは着床前の時期であり、母胎からの影響をほとんど受けません。万一、奇形が現れてもそのほとんどは流産してしまいます。慎重に検討された結果、欧米では上記のような結論が得られたのです。緊急避妊薬に催奇性が全くないとは言い切れませんが、欧米には催奇性があると考えている医師はほとんどいません。なお、妊娠がすでに成立していれば、その胎児への影響は否定できないので、妊娠していないことを確認してから処方するのが常識となっています。

【妊娠初期の流産を引き起こす?】

 緊急避妊法で流産が起きる、大出血が起きる、などの脅し情報が流されています。緊急避妊法が流産や大出血を招くという信頼できるデータはありません。妊娠中絶薬は、人工的に流産を起こさせるもので、大出血が起きることがあります。しかし、着床前(たとえ着床直後の服用でも)に服用される緊急避妊薬の服用で、大出血をともなう流産が引き起こされるということは、常識的に考えてもあり得ないことです。

▲このページ先頭

いざというときにはお友達に
 ユーゴの内戦では、レイプ事件が多発しました。このユーゴでは、緊急避妊薬が相当の効果を上げたとも言われています。緊急避妊薬がこのような使われ方をするのは、涙が出るほど悲しくなります。日本では内戦はないと思います。しかし、低用量ピル・中用量ピルは高価なものではありませんから、いつも手元に置いておけば安心です。 
 緊急避妊法について知らないお友達に緊急事態が起きたときには、緊急避妊法のことを知らせて上げて下さい。緊急避妊法は24時間以内だと効果が高まります。病院で緊急避妊法のためにピルが処方してもらえないときには、ご自分で服用しているピルを分けて上げて下さい。他人にお薬をあげることは決して好ましいことではありません。しかし、たとえ法的に問題があっても、自己責任を前提にして道徳的には許されることだと思います。女性同士、悲しい思いをする方を少しでも少なくしていきましょう。 
 【お願い】緊急避妊法やモーニングアフターピルなどの言葉を知らなくても、このページ「いざというときの緊急避妊法」にたどり着ける方が多くなってほしいと考えています。「ピルとのつきあい方」のトップページにリンクしていただく際に、このページへも直リンクしていただけると幸いです。ディレクトリ型サーチエンジンにはなかなか登録してもらえません(ジャンルがない?)。登録推薦してあげようという方がいらっしゃいましたら、よろしくお願いします。

▲このページ先頭

海外の緊急避妊薬事情(2001.1.2加筆・以後随時追加)
 私はこのページ「いざというときの緊急避妊法」を1999年10月に公開しました。当時、緊急避妊法やモーニングアフターピルで検索すると、ヒットするのは輸入代行業者のページばかりでした。緊急避妊薬は個人輸入していたのでは間に合いません。このページ公開以来、多くの方に感謝されてきました。しかし、一方で少なからぬお叱りも受けてきました。日本で認可されていない危険な方法を紹介するのはけしからんというわけです。
 確かに緊急避妊法は完全に安全な方法ではありません。しかし、中絶を減らしていくためには極めて有効な方法です。日本で緊急避妊法が公認されれば、33万件の人工妊娠中絶を8万件程度に減らすことも可能です。妊娠中絶のリスクに比べると緊急避妊法のリスクは断然小さいという、当たり前の話が日本では通らないのです。日本で緊急避妊法がタブー視されている間に、海外では緊急避妊法が急激に定着います。
1999.12.4の朝日新聞は以下のように報じています。 

世界のくらし 
「速効避妊薬」仏で論争 
若年層中絶、年に6000件 
中学・高校で配布へ 
「モーニングアフターピル」と呼ばれる緊急避妊薬を中高校で配布するかどうかをめぐりフランスで論争が起きている。若年層の中絶を来れ以上増やさないために必要な対策なのか。安易な避妊法のため性モラルの低下を招くのか。賛否が渦巻く中、政府は早期実現へ向けて準備を始めた。 
 フランスでは若年層の「望まない妊娠」は年間一万件あり、そのうち六千件が中絶している。事態を重視したロワイヤル学校教育担当相は十一月末、「重大、緊急の場合」に限り、保健婦と相談の上、学校で緊急避妊薬を配布する方針を明らかにした。 
 この避妊薬は受精卵の子宮への着床を妨げる作用があり、二十四時間以内に飲めば妊娠を九五%防ぐ効果がある。副作用も少ないため、フランスでは世界に先駆け、六月から処方せんなしで薬局での販売を始めている。 
 ところが、保守系の保護者団体から「避妊は家庭の問題であり、こうした避妊法が一般化する恐れもある」とクレームがつき、中絶反対グループも「これは避妊薬ではなく中絶薬だ」と反発を強めている。 
 これに対してロワイヤル学校教育担当相は「若い女性たちは悲惨な状況にある」として、保護者へ連絡、医師を紹介して避妊相談を受けさせる、など保健婦の役割を明確化し安易な使用を防ぐ方策を取ることを約束した。昨年秋の調査によると、十六〜二十八歳の女性の三一%が避妊をしたことがないと回答。一〇%に中絶経験があった。

 フランスでは1999年6月に、イギリスでは2000年12月に、緊急避妊薬の処方箋なしの販売が始まっています。緊急避妊薬の規制緩和が進んだ背景には、若年者の中絶問題がありました。日本と比べれば問題にならないくらい少ないのに、徹底した対応が取られてきたわけです。その延長線上に学校での配布があるわけで、中絶の問題にいかに真剣に取り組んでいるかがわかると思います。
 カソリック国フランスでは緊急避妊法に反対する人もいますが、社会の大勢には影響を与えていません。熱心な信者である私の友人も、避妊は「家庭の問題」「個人の問題」であり、国家が干渉する理由はないという意見のようでした。「家庭の問題」「個人の問題」という考え方が強いために、一方で「学校で緊急避妊薬を配布すること」に反発があり、一方で「緊急避妊薬の処方箋なしの販売が実現する」というところが、フランス的だと思います。
 「母体の保護」を理由に緊急避妊薬の認可どころか緊急避妊法自体がタブー視される日本は、いったいどういう国なのでしょうか。

<アメリカの動向>
 アメリカ産婦人科医学会(ACOG)は、緊急避妊薬の処方箋なし販売を認めるように働きかけてきました。2001年4月30日の年次総会で、処方箋なし販売が実現するまでの間、健康診断の際全ての女性にあらかじめ処方するように呼びかける演説をT.Purdon新会長は行いました。参照ACOG 参照CNN.
 アメリカにも、緊急避妊法に反対する方がいます(医学的理由ではなく、主として宗教的理由)。反対派の存在が処方箋なし販売を阻んでいるといってもよいでしょう。そのような中で、産婦人科医学会会長の演説は感銘を与えるものでした。たとえ違法すれすれであっても、女性の健康利益を第一に考えるのが産婦人科医の使命であるとの信念がうかがえます。
 処方箋なし販売は、産婦人科医の「利益」に反します。処方箋なし販売では、産婦人科医が得ていた診療にともなう「利益」が失われるだけでなく、中絶の減少によって二重の打撃を受けることになるからです。それにもかかわらず、アメリカ産婦人科医学会は、緊急避妊薬の処方箋なし販売を推進しようとしているのです。
 日本でも緊急避妊薬が認可される日は、いつか来ると思います。しかし、日本には緊急避妊法の危険性をことさらに強調する医師がたくさんいます。日本の医師団体が処方箋なし販売を提唱することは、想像できません。日本には女性の健康を思いやる医師が多いからなのか、自分の「利益」を思いやる医師が多いからなのか、どちらなのでしょうか?

▲このページ先頭



ピルとのつきあい方(表紙)ピルとのつきあい方(サイトマップ)メール
readmej