ピルの服用法(ピルの服用法に関する困り事・心配事)

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初めてピルを飲むとき
2シート目の服用開始
ピルの種類を変えるとき
中用量ピルの場合
服用時刻は?
お水で飲む?
海外旅行の際のピルの飲み方

薬物相互作用(ピルと他の薬をいっしょに飲むとき)(別ページ)

 

定時服用の重要性

飲み忘れ対応の動向
ピルを飲み忘れたとき
(別ページ)

日本のガイドラインの不思議
飲み忘れないための工夫
ピル服用中のすり抜け排卵


 

初めてピルを飲むとき
 

【生理初日からの服用開始】

 日本で認可されているすべての低用量ピルは、生理の初日に飲み始めることができます。生理初日に飲み始めると、その日から避妊効果が得られます。生理初日に服用を開始するのがお奨めとも言えます。 
 生理初日から服用を始めたとき、この生理は普通は影響を受けません。生理痛も普段通りですし、経血量も変わらないでしょう。ところが、ある場合にはこの生理が軽くなったり、経血量が少なくなったりすることがあります。喜ぶべきかもしれませんが、このような場合、不正出血が起きたり、1シート服用後の生理が重くなったりする原因となります。

【生理初日っていつ?】

 「夜の10時に生理が始まったら、生理初日って2時間で終わってしまうのですか?」という質問を頂くことがあります。ピルの服用開始で初日というのは、生理が始まってから24時間以内をいいます。日付をまたいでも24時間以内であれば、生理初日と考えて差し支えありません。
 朝起きて生理が始まっていることに気づいたら、いつ始まったのかわかりませんね。その場合は、前日の就寝時刻に始まったと考えます。そうすれば最大24時間以内の服用開始になります。
 生理の始めは、おりもの様の出血で始まる方も多いと思います。どこから生理の始まりかのかわからないといわれる方もいます。おりもの様の出血が2〜3日続くような方は、基礎体温を計ってみるとそれが生理かどうかわかると思います。多くの方ではおりもの様の出血が生理の始まりです。おりもの様の出血が生理の始まりと確認できる場合は、それを生理の初日と考えて服用を始めます。よくわからない場合は、はっきりとした出血が始まってから服用を開始し、2週間の間他の避妊法を併用するようにします。

【生理2日目〜7日目からの服用開始】

 トライディオール・トリキュラー・リビアン・アンジュの4製品は必ず生理初日から服用するようにして下さい。他の製品は7日目までであれば、服用を開始することができます。ただし、服用開始後2週間は必ず他の避妊法を取る必要があります。 
 2〜7日目の中では、5日目がおすすめです。それには3つ理由があります。1つ目は、5日目に飲み始めると第1周期から28日の生理周期が確保できます。2つ目は、子宮内膜が剥脱してしまいますので、不正出血の可能性が小さくなります。3つ目は、不正出血や着床出血と月経を間違って服用開始することを避けることができます。 
 2〜7日目からの服用開始法の1パターンとしてサンデースタートがあります。特にノリニールとシンフェーズの2製品は、サンデースタートを推奨しています。サンデーピルにする方法については、こちらをご覧下さい。 
 生理2日目の服用開始でも、排卵を抑制できない可能性があります。さらに生理開始日と服用開始日の間隔が空けば空くほど、すり抜け排卵の危険性が大きくなります。6日目7日目の服用開始はあまりお奨めできません。 
 生理8日目以後の服用開始 生理開始7日目は服用開始のギリギリのラインです。これを過ぎてからの服用開始は止めましょう。
 
 

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2シート目の服用開始
 1シート目の21錠を服用したあと、7日間の休薬期間を取ります。偽薬のついた28錠タイプでは服用を続けますが、偽薬服用中は実薬を飲んでいないのでやはり休薬期間といいます。この休薬期間中に生理が来ます。7日間の休薬期間が終わって8日目に新しいシートの服薬を開始します。この8日目にまだ生理が続いていても、かまわず服薬を開始して下さい。休薬期間が7日より多くなると、それは飲み忘れと同じことになります。何らかのやむを得ない理由がある場合には、休薬期間を短縮しても避妊効果に影響はありません。しかし、休薬期間を延長することはできません。 
 なお、生理初日の服用開始というのは、始めてピルを飲むときのことです。2シート目からは生理初日の服用開始とはなりません。

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ピルの種類を変えるとき
 今飲んでいるピルが28錠タイプのときは、28錠目を飲み終えた翌日から新しいシートの服用を開始します。 
今飲んでいるピルが21錠タイプのときは、21錠服用後7日間休薬期間を取り、休薬期間が終わった翌日から新しいシートの服用を開始します。 
いずれの場合も、避妊効果は継続します。

【ガイドラインと海外動向】

 上に書いているのが、日本のガイドラインの書き方です。海外では超低用量ピルなどが出回っている関係もあって、ピルの種類を変えるときは7日間休薬を設けない方法が推奨されるようになってきました。つまり、今飲んでいる実薬の21錠目を飲んだ翌日から新しいピルを服用したり(連続服用)、休薬期間中の生理初日から新しいピルを服用したりすることが普通になって来つつあります。日本で認可されているピル同士であれば、ガイドラインの方式で問題ないでしょう。もし、日本で認可されていない種類のピルを服用するときは、その説明書に従って下さい。

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服用時刻は?
 ピルの服用時刻は何時に設定してもかまいません。食前食後も関係ありません。生活パターンを考えて、もっとも飲み忘れの生じにくい時刻に飲むようにして下さい。
 吐き気などの副作用が気になる場合には、就寝前に服用するようになさると良いでしょう。

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お水で飲む?
 ピルは小さな錠剤です。水なしで飲めればそれでもかまいません。もちろん、普通は水で飲みます。水以外のジュースやお酒で飲んでも、効果にかわりはありません。
 小さい錠剤なのできちんと飲めたか不安だという方がいらっしゃいます。どうしても不安があるなら、食事を飲み込む時にいっしょに飲み込む様にすると良いでしょう。

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中用量ピルの場合
  中用量ピルの場合は、必ず生理5日目に服用を開始します。低用量ピルのように生理初日に服用を開始すると、不正出血が多くなります。
 2シート目以後も生理5日目に服用を開始するのが原則です。

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海外旅行の際のピルの飲み方
 ピルの飲み方の基本は、定間隔で飲むことです。 
時差の少ないアジア・オセアニアの場合は、時計を現地時間に合わせても、日本にいるときと同じ時間に服用して問題ありません。 

 ヨーロッパ・アメリカなどの場合は、そのまま現地時間の定時刻で飲むとややこしくなるので、定間隔になるように現地時間の定時刻を設定します。例えば、日本では夜飲んでいたけれど、アメリカにいる間は朝飲むことにする、とかです。ほかにも方法はあると思うけど、慣れればこれが一番混乱しないように思います。
  ややこしいと思ったら携帯電話を持っていきます。携帯電話の時間は日本時間のままにしておきます。日本時間にあわせて服用すれば簡単です。

★アメリカ(15時間の時差があるとして)

日本時間の朝に飲んでいる場合→現地時間の夜に設定(日曜7時=土曜16時) 
日本で日曜の朝飲む分を現地時間の土曜日夜の適当な時間に飲むということです。時間は厳密でなくても、夜であればオーケーです。この場合、パッケージの曜日標記が1日ずれますが(日曜日分を現地の土曜日に飲む)、日本に戻ればズレはなくなります。以下も同様。
日本時間の昼に飲んでいる場合→現地時間の夜に設定(日曜12時=土曜19時) 
日本時間の夜に飲んでいる場合→現地時間の朝に設定(日曜20時=日曜5時)

★ハワイ(19時間の時差があるとして) 

日本時間の朝に飲んでいる場合→現地時間の昼に設定(日曜7時=土曜14時) 
日本時間の昼に飲んでいる場合→現地時間の夜に設定(日曜12時=土曜17時) 
日本時間の夜に飲んでいる場合→現地時間の朝に設定(日曜20時=日曜01時)

★ヨーロッパ(9時間の時差があるとして) 

日本時間の朝に飲んでいる場合→現地時間の夜に設定(日曜07時=土曜22時) 
日本時間の昼に飲んでいる場合→現地時間の朝に設定(日曜12時=日曜03時) 
日本時間の夜に飲んでいる場合→現地時間の昼に設定(日曜20時=日曜11時)

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定時服用の重要性
  ピルの面倒なところは、毎日決まった時間に飲まなくてはならないこと。そうしないと体内のホルモン濃度を一定に保てないからです。もちろん、多少のズレは許されます。どれくらいのズレまでが許されるのかが問題です。12時間以内のズレ(間隔が36時間になる)ならば完全にセーフです。24時間以内のズレ(間隔が48時間になる)でもセーフと書いている文献もあります。ピルの種類によるかもしれませんが、ここは慎重に12時間以内のズレ(間隔が36時間になる)までをセーフと考えた方がいいと思います。
7日間の休薬期間が終わり、新しいシートの服用を始めるときに忘れてしまうことがあります。つまり、休薬期間が7日より多くなることがあります。これも飲み忘れと同じです。ただし、これも12時間以内ならセーフです。24時間以内なら下の飲み忘れ対応法に書いている方法を取って下さい。
 7錠の偽薬服用中の飲み忘れは、ぜんぜん気にしなくても結構です。ここで書いている飲み忘れには、偽薬は含めません。
飲み忘れがあると、不正出血が起きやすくなります。飲み忘れのために不正出血が起きても、慌てません。24時間以内のズレであれば、だいたい点状出血の範囲で収まります。24時間以内の遅れであれば、下に書いている服用法を取ります。

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 飲み忘れ対応問題の動向

【WHO基準】

WHO(世界保健機構)は、2004年に"Medical eligibility criteria for contraceptive use"(第2版)を公表し、その中で新しい飲み忘れ対応を示しました。以来、各国のガイドラインは、WHO新基準に準拠したものに改訂される傾向にあります。日本の「低用量経口避妊薬の使用に関するガイドライン(改訂版)」もWHOの2004年基準を参照すべき旨が記されています。

【シンプル基準の必要性】

新基準の特徴は、きわめてシンプルなことです。新基準について、WHOは「本書初版以後の実地経験は、単純な飲み忘れ対応の必要性を浮き彫りにした」と述べています。WHO初版基準下で各国の飲み忘れガイドラインは、より厳密化の方向をたどっていました。本サイトの飲み忘れ対応の説明は、そのような状況を反映したものでした。しかし、世界には様々な教育レベルの女性がおり、厳密な飲み忘れ対応は一定の教育レベル以下の女性には困難でした。そのことが、「単純な飲み忘れ対応の必要性を浮き彫りにした」と述べられているのです。

【前向き研究の進展】

シンプルな基準が作られたもう一つの背景は、ピル研究の動向です。旧基準はピルユーザーの予期しない妊娠研究がベースになっていました。ピルは正しく服用しなければ、避妊効果が減少することが知られています。ピルユーザーの避妊失敗例の分析研究が、飲み忘れ対応の根拠となっていました(既に生じた事例についての研究なので後ろ向き研究といいます)。このような研究とは別に、ピルの服用者を観察する研究が行われるようになりました(生じ得ることについての研究なので前向き研究といいます)。そのような研究の成果として、7日ルールが提唱されるようになりました。新基準の根拠になっているのは、主として前向き研究の成果です。

【各国の動向】
WHOの新基準は非常に大胆なものでした。WHOの新基準を踏襲した国家レベルのガイドラインを定めた国もありますが、そのような国でも現場レベルでは混乱が見られます。
WHOの新基準は7日ルールをベースにしたものですが、
一部は7日ルールからも逸脱するものとなっています。
たとえば、新しいシートの飲み始めに2錠の飲み忘れがあっても、
コンドームなど追加の避妊法は必要ないとしています。
つまり、休薬期間が9日になっても避妊効果は持続するとの見解です。
はたしてこれでよいのかとの疑問が生じるのは、当然といえます。
WHOの新基準により飲み忘れ対処法をシンプルにする傾向が生じましたが、
WHOの新基準はそのまま受け入れられているわけではありません。
WHO新基準を踏襲したガイドラインを作成したイギリスでは、医療現場からの評判がよくなく、また薬品会社の添付文書がガイドラインを受け入れなかったために、2011年5月に改訂試案が発表されました。ドイツでは医療4団体で統一ガイドラインが作成されずに、別々のガイドラインとなりました。カナダではガイドラインの取りまとめに4年かかりました。

【2つの基準】
日本においては、「低用量経口避妊薬の使用に関するガイドライン(改訂版)」が定められました。新ガイドラインでは、「『低用量経口避妊薬の使用に関するガイドライン』(1999年)では、のみ忘れた場合の対応については以下のように記述されているが、WHOからは「OCの飲み忘れに関する指導」としてさらにきめ細かな対応法が紹介されているので参考にされたい」としています。日本のガイドライン(改訂版)は別の項でも触れますが、1999年ガイドラインの間違いを意地でも認めないという立場です。1999年ガイドラインとWHO新基準は矛盾するものですから、日本のガイドライン(改訂版)は2つの対処法を併記していると見なすことができます。これではガイドラインの意味がありません。

【日本のユーザー】
日本のユーザーは、例外なく日本語を読み理解することができます。
また、ほぼ例外なく携帯電話を保有しており、
携帯サイトにアクセスできることも日本の特色です。
携帯サイトを設け、情報にいつでもアクセスできる条件を整備すれば、
シンプル化の必要はないのではないかと考えました。
ふたつ目に、日本人の品質に対する要求水準の高さです。
1回の飲み忘れによる妊娠の確率は、最大で0.6%です(年換算8%)。
WHO新基準の対応でも、この確率を格段に低下させることができます。
したがって、シンプル版の対応でも十分だという考えは成り立つのですが、
できうる限りの完璧さを求めるのが日本人的心情ではないかと思います。
日本クォリティーの基準があってもよいのではないかと考えます。

【不確かさ】
前向き研究の結果と後ろ向き研究の結果には、必ずしも十分な整合性があるとはいえません。
後ろ向き研究では、完璧な服用を続けていても非常に低い確率ながらすり抜け排卵の生じることが示唆されているし、完璧な服用でない場合その確率が上昇することも示唆されています。ところが、前向き研究では後ろ向き研究の示唆する排卵を十分に説明できていません。すり抜け排卵については、まだ十分な研究がないというのが実情です。
もう一つ考慮すべき事情は、日本にはピル服用歴の浅いユーザーが多いことです。ピルユーザーの予期しない妊娠は、1年以内のユーザーに多いというデータがあります。その理由には、服用歴の短いユーザーは正しい服用習慣が確立していないこともあります。しかし、もう一つの理由は、ピルが身体になじむには一定の時間がかかるということです。服用歴が長くなると消退出血の量が減少することはよくあることです。消退出血の量が多いのは、卵巣から卵胞ホルモンの分泌がなされていることと関係します。服用歴の短いユーザーの卵巣は眠りが浅いともいえるわけで、このことが1年以内のユーザーの妊娠が多い理由となっています。ピル服用歴の浅いユーザーが多い日本では、シンプルな飲み忘れ対応で十分なのだろうかという疑問が残ります。

【WHO基準改訂への対応】
WHOの基準は不変なものではなく、改訂されていきます。2011年現在は、第4版です。WHO基準の改訂に合わせて、飲み忘れ対応を改訂していくにはかなりのエネルギーを要します。細心版は汎用性という利点を有します。
ちなみに、「低用量経口避妊薬の使用に関するガイドライン(改訂版)」が作成されたとき、日本には超低用量ピルはありませんでした。そのため、日本のガイドラインはWHO基準の低用量ピルの部分を紹介しています。その後、日本では超低用量ピルのヤーズが利用できるようになりましたが、日本のガイドラインは改訂されていません(ヤーズには避妊の適応がないという言い訳は可能ですが)。

【緊急避妊薬へのアクセス】
WHOの基準変更の背景に緊急避妊法の普及があります。飲み忘れ対処法をシンプル化していくと、緊急避妊に頼らざるを得ないケースが出てきます。WHOの基準変更を受けた各国のガイドライン策定でも、緊急避妊の適応範囲は大きな焦点となりました。その選択肢が可能なのは、緊急避妊薬がOTC薬化(処方箋なしで薬店で買える薬)しており、価格も安い(アメリカで40-50ドル程度、3千数百円)という事情があります。一方、日本では緊急避妊薬ノルレボが認可されましたが処方薬ですし、価格も高いのが現状です。飲み忘れ対応を考える際に、緊急避妊薬へのアクセスの容易さも考慮される条件の一つです。

【日本の実情にあったガイドライン】
本来、日本の実情にあったガイドラインを作成すべき責任の人がいるはずです。しかし、残念なことに、その責任が果たされているとは思えません。日本のガイドライン(改訂版)は不備のある1999年ガイドラインを否定しておらず、参考としてWHO第2版基準の一部を紹介しているに過ぎません。
本サイトが提案した飲み忘れ対応が広く受け入れられてきた状況は、変わっていないように思われます。

【本サイトの提案する飲み忘れ対応の背景】
本サイトの飲み忘れ対応は、14日ルールと7日ルールの混在していた1990年代の状況を反映したものです。基本は14日ルールで部分的に7日ルールの知見が取り入れられています。たとえば、12時間の許容という考えは14日ルールの時代にはなく、7日ルールにともなって出てきた考えです。
超7日ルールともいえるWHO第2版基準が出た今となっては、本サイトの考えはとても古くさい考えです。しかし、14日ルールをベースとした飲み忘れ対応が、欧米の一部では依然として支持されている実情があります。ピルユーザーの意図しない妊娠に心が痛んだ経験が、より慎重な対応を選択させていると考えます。

 

ピルの飲み忘れに気づいたとき【細心版】






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日本のガイドラインの不思議

 低用量ピル認可の審議過程で、厚生省はピルを使わせないための悪知恵をめぐらすことで頭がいっぱいでした。そのために世界の常識に反することを堂々とやってのけたことは、他のページに書いているとおりです。
 厚生省はピルを使わせない方策を考えることに腐心する一方、安全な服用法に関する事柄については、おざなりの対応しかしていません。その結果、飲み忘れた際の服用法について、驚くべきガイドラインが生まれました。以下が、日本のガイドラインです。

1) 1日だけのみ忘れた場合 
のみ忘れが1日だけであれば、気づいたときに直ちにのみ忘れた錠剤を服用し、その日の分も通常通りに服用させる。つまり、その日は2錠を服用することになる。なお、1日のうちに2錠服用しても重大な副作用がおこったという報告はない。 
2) 2日以上連続してのみ忘れた場合 
のみ忘れが2日以上連続した場合は、そのシートの残りの錠剤を服用することをやめて、次の月経を待って新しいシートの錠剤の服用を開始する。その際、「月経第1日目」から服用を開始するOCと、「月経が始まった最初の日曜日(月経が日曜日に始まったらその日)」から服用を開始するOCの2種類があるので、手元の服用者向け情報提供資料に記載された「のみ方」にしたがって服用し始める。なお、次の新しいシートの服用開始までは妊娠する可能性は否定できないので、他の方法で避妊するよう指導すること。

 世界中のピルに関する文献を集めても、こんな奇妙な記述を見つけることはできないでしょう。
何が奇妙なのでしょうか?世界中の記述は、「1錠(pill,tablet etc.)の飲み忘れ云々」となっています。飲み忘れからの時間を書いているものもあります。「1錠の飲み忘れの場合」「2錠の飲み忘れの場合」というように記述されれば、飲み忘れからの時間が限定されます。「1錠の飲み忘れの場合」は、誰が読んでも飲み忘れがあってから24時間以内ということになります。
 「1日だけのみ忘れた場合」という表現にするとどうでしょう?

【問題1】日曜日の朝10時に飲み、月曜日の朝飲み忘れたとします。このケースでガイドラインにいう「1日の飲み忘れ」に相当する範囲を示しているのは以下のどれか? 
@月曜日の朝10時から月曜日の24時まで。 
A火曜の0時から火曜日の朝10時まで。 
B火曜日の朝10時から火曜日の24時まで。。 
【解答】正解は@とAです。ガイドラインでは「1日の飲み忘れ」の場合には1日に2錠飲むとなっています。しかし、@では手元に飲み忘れた錠剤は1錠しかありませんから、1日に2錠飲むことにはなりません。1日に1錠のケースもあれば、2錠飲むことになるケースもあるのに、ガイドラインでは2錠飲むと書かれています。ここからBを1日の飲み忘れと考える誤解が生じます。Bでは確かに飲み忘れは月曜日1日と考えることもできます。また、手元に飲み忘れた2錠の錠剤が残っていますから、1日に2錠飲むというガイドラインの指示に符合するように見えます。しかし、Bを1日の飲み忘れと考えると、妊娠のケースが出てきます。

【問題2−1】日曜日の朝10時に飲み、火曜日の朝8時に気づいたとします。このケースにつきガイドラインに準拠して服薬指導しなさい。 
@飲み忘れのあったのは、月曜日1日なのでガイドラインの1)に該当する。したがって、直ちに1錠、10時にさらに1錠服用させる。 
A飲み忘れのあったのは、月曜日と火曜日の2日なのでガイドラインの2)に該当する。したがって、服用を中止させる。 
【解答】正解は@。

【問題2−2】日曜日の朝10時に飲み、火曜日の夜8時に気づいたとします。このケースにつきガイドラインに準拠して服薬指導しなさい。
@飲み忘れのあったのは、月曜日1日なのでガイドラインの1)に該当する。したがって、直ちに2錠服用させる。 
A飲み忘れのあったのは、月曜日と火曜日の2日なのでガイドラインの2)に該当する。したがって、服用を中止させる。 
【解答】正解はA。 

ガイドラインをどれほど読み込んでも、【問題2−1】と【問題2−2】の両方に正解することはできません。つまり、このケースでも、ガイドラインは不正解を導くように作られています。
ガイドラインに従えば、最大48時間の飲み忘れでも「1日だけのみ忘れた場合」に該当すると考える方が出てきます。
 しかし、これは大間違いです。ガイドラインには「24時間以内ののみ忘れの場合」または「1錠だけのみ忘れた場合」と書くべきところを「1日だけのみ忘れた場合」と間違って書いているのです。
 ひどすぎると思いませんか?このことについて厚生省は、「ガイドラインは6団体で決めたこと」といって責任をとろうとしません。6団体は「厚生省が決めたこと」といい、製薬会社は「ガイドラインに従ったまで」と責任をたらい回しにしています。こんな単純なミスが大手を振ってまかり通る日本は、どうなっているのでしょう。服用する女性の立場に立った対応がなされないことに、強く抗議したいと思います。
 ガイドライン・添付文書・皆さんのお手元の説明書・ネットや書籍の情報、それらはほとんど全てガイドラインに従った記述になっています。しかし、それに従うと危険なケースがあります。(ガイドライン以前からある少数の文献だけが正確な記述になっている。)
 なお、ガイドライン2)の「次の新しいシートの服用開始までは」の記述も危ない記述です。休薬期間が7日を越えたり、生理初日が日曜日でない場合は、服用を開始してもすぐには避妊効果は得られません。この点にも、ご注意下さい。

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飲み忘れないための工夫
 飲み忘れたときどうするかよりも、飲み忘れないための工夫を考えておいた方がいいと思います。
 自分の生活リズムの中で、一番飲み忘れない時間を考えます。これは人によって違うと思いますが、私のおすすめは寝る前です。朝や昼は時間に追われて飲み忘れてしまいそうになります。それに飲み忘れはウィークエンドに起きがちなのですが、生活のリズムが違うウィークエンドでも寝る時間は一定しています(かな?)。寝る前がいいと思うのには、万一飲み忘れても、次の朝気付けば12時間以内でセーフになっちゃう、ってことも。これは人によって違うと思いますが・・・。
 それから、飲み忘れ防止に効果的なのは携帯電話のアラーム機能。目覚まし時計と違って、身につけているものだけに効果的なようです。
 サプリなど他に服用しているものがあれば、時間差をつけてピルを先に飲むようにします。後で飲むことにしているサプリなどの服用時に、飲み忘れていないかチェックするようにすれば、12時間以内の飲み忘れでチェックできます。サプリはナトフェミンが個人的にはおすすめ。
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ピル服用中のすり抜け排卵
 ピルの服用で避妊効果が現れる理由には、3つあります。3つの理由の中で、もっとも大きなものは、排卵の阻止です。ピルに含まれている黄体ホルモンの作用で、排卵がすでに終わったものと体が錯覚するために新たな排卵は起きないのです。
 ところが、実際にはピル服用中にも排卵が起きることがあります。これをすり抜け排卵と呼びます。すり抜け排卵があっても、普通は妊娠しません。すり抜け排卵発生率をピルによる避妊失敗率と誤解している記述を見かけることがありますが、それは誤りです。
 ピル服用中の極めて例外的な妊娠は、すり抜け排卵と着床条件が重なったときに起きます。したがって、この2つの条件が重ならないようにすれば、100%避妊可能と言うことになります。

すり抜け排卵の起こりやすい条件

A. 最初の飲み始めが生理初日でなかった場合の服用開始後14日目まで
 このケースでは卵胞の成長が始まっていて、ピルによる排卵抑制作用が不十分になるために排卵が起きやすくなります。他の避妊法を取ることが求められているのは、すり抜け排卵の危険性が高いからです。

B. ピルの服用が意図的に中止されたとき(休薬期間)
 意図的な中止とは、休薬に入るケースです。休薬中にすり抜け排卵があっても、消退出血(生理)が発来するので着床(妊娠)する事はありません。消退出血(生理)がごく軽いものであったり、全くなかったりすることがあります。この場合も、妊娠の可能性はありません。それは子宮内膜が極めて薄い状態に保たれているということで、着床できない状態だからです。つまり、休薬期間中はすり抜け排卵の可能性はあるけれども、着床の条件がないので妊娠しないということになります。

C. ピルの服用が無意図的に中止されたとき(飲み忘れ)
 無意図的な中止とは、飲み忘れのケースです。飲み忘れにより、すり抜け排卵の可能性は高まります。特に24時間以上の遅れだと、すり抜け排卵の起こる可能性はもっと高くなります。
 そこで24時間以上遅れた場合には、あっさり服用を中止することが重要です。服用を中止すると、消退出血(生理)が発来するので着床(妊娠)する事はありません。ちょうど、緊急避妊法を施行したのと同じ状態になります。

 問題は、服用周期初期(第1週目など。2シート目以後でも同じです)の飲み忘れです。なぜ服用周期初期の飲み忘れが問題なのかというと、消退出血(生理)が発来しないことがあるからです。服用周期初期に24時間以上の遅れが合った場合には、緊急避妊法の要領に従って消退出血(生理)を起こすようにした方が確実に妊娠を避けることができます。

 なお、飲み忘れで一番恐いのは、飲み忘れていることに気づかずに服用を継続することです。飲み忘れがあるとすり抜け排卵の可能性が出てきます。しかも、子宮内膜は着床可能な状態に維持されています。飲み忘れていることに気づかずに服用を継続すれば必ず妊娠するというものではありませんが、「正しくピルを服用していたにもかかわらず妊娠した」という極めて稀なケースについては、本当に正しく服用していたのか疑う方もいます。後で24時間以上の飲み忘れがあったことに気づいた場合は、こちらの対応を取りましょう。

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