生理日110番
昭和のピル物語−薬局で売られていた超低用量ピルの話−
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ピルを用いて、生理日を早めたり遅らせたりする生理日調整ができます。
このページでは生理日調整の方法について解説します。

昭和のピル物語
−薬局で売られていた超低用量ピルの話−


身近な存在だったピル
ピルと知らずに飲まれていた薬
世界初の超低用量ピル
EP錠の思わぬ功名
EP錠が必要さとれた社会背景
EP錠その後
月経移動は「治療」か?
生理日調整する女性の復活
「妊娠したいなら勝手にどうぞ」

時計を逆回りさせる人たち
ピルの治療薬化をくい止めよう

rurikoの独り言

月経や消退出血の仕組みを知ろう

月経の仕組みを理解しよう
緊急避妊後の出血(消退出血)
ピルユーザーの消退出血
ピルユーザーの不正出血






ピルユーザーが生理日を早める生理日調整

なぜピルユーザーは生理日を早めることができるのか
生理日を早めるピルの服用例
何日まで早めることができるか
サンデーピル・サタデーピルに変更する方法
生理開始日の誤差
早める生理日調整の失敗率
失敗率を低める方法
早める生理日調整と避妊効果
飲み忘れ対応への応用は危険
ピルユーザーが生理日を遅らせる生理日調整

なぜピルで生理日を遅らせることができるのか
生理日を遅らせるピルの服用例
何日まで遅らせることができるか
生理開始日の誤差
遅らせる生理日調整の失敗率
失敗率を低める方法
1相性ピルユーザーが失敗率を低める方法
トリキュラー、アンジュ、ラベルフィーユで失敗率を低める方法
オーソ777で失敗率を低める方法
シンフェーズで失敗率を低める方法
遅らせる生理日調整と避妊効果

ノンピルユーザーの生理日調整

ルナルナ超活用術
ピルを早めにもらっておきます
生理を早める調整の方法
生理を遅らせる調整の方法
生理周期が一定でない場合
余談「ノンピルユーザー」は和製英語












身近な存在だったピル

日本はピル後進国といわれます。
低用量ピルが避妊薬として認可されたのが1999(平成11)年、
超低用量ピルのヤーズが治療薬として認可されたのが2010(平成22)年のことです。
そんな日本ですから、現在50歳以上(昭和37年以前生まれ)の女性は、
ピルなんて飲んだことがない。
そのように考えてしまいますが、実は違うのです。
もしかすると、彼女たちにとってピルは現代以上に身近な存在だったのかもしれません。
下はある掲示板での書き込みです。



1978(昭和53)年頃のことについて書かれています。
元中学生さんは1965(昭和40)年頃の生まれ、そのお母さんは1945(昭和20)年頃の生まれの方と推測できます。
話の中に出てくるのは、EP錠という薬です。
このEP錠という薬は、紛れもなくピルだったのです。
 

ピルと知らずに飲まれていた薬

上の元中学生さんは、EP錠の名前を覚えていますが、
それがピルとは知らなかったようです。
ピル(避妊薬)として販売されていたわけではありませんから、
ピルという認識がなかったのは当然でしょう。
ここで興味深いのは、
「母も叔母も・・・気軽に使っていた」という記述です。
そして、市販薬だったとも書かれています。
この点は、どちらも事実です。
EP錠は市販薬として発売されました。
おそらく、昭和30年代の事ではないかと思われます。
市販薬ですから、広告も可能でした。
年輩の女性によると、
EP錠は女性雑誌の広告の常連だったとのことです。
修学旅行と生理が重なる生徒は、
保健室の先生から薬をもらって飲んだという方もいらっしゃいました。
EP錠はかなり普及した薬だったようです。

世界初の超低用量ピル

EP錠のメーカーは帝国臓器(現あすか製薬)でした。
帝国臓器は、医家向けの中用量ピルソフィアを市販薬に作り替えて、
EP錠として発売しました。
おそらく市販薬として認可を得るためには用量を押さえる必要があるという事情から、
EP錠はエストロゲン(メストラノール)の用量を1錠あたり20マイクログラムとしました。
エストロゲン50マイクログラム未満のピルが低用量ピル、30マイクログラム未満のピルが超低用量ピルです。
はからずも、EP錠は世界初の超低用量ピルとなりました。
もっとも、1日2錠でしたから、1日あたりのエストロゲン用量は40マイクログラムとなります。
それでも、低用量ピルの用量です。

EP錠の思わぬ功名

EP錠がエストロゲン用量を1錠あたり20マイクログラムとしたのは、
市販薬としての制約のためだったと推測しています。
ところが、これにはケガの功名がついてきます。
ピルには副作用のイメージがつきまとっていますが、
EP錠では副作用が少なかったのです。
エストロゲン40マイクログラムを2分割で服用することにより、
血中濃度を低く押さえることができました。
吐き気などエストロゲン依存性の副作用が感じられなかったのは、
2分割服用が関係していました。
EP錠がピルと認識されなかったのは、
副作用の少なさが関係していたかもしれません。
分割服用の知恵は欧米のピルユーザーの間で語り継がれてきていました。
しかし、欧米には2分割錠剤は存在しませんでしたから、
自分で分割して服用するしかありませんでした。
欧米のピルユーザーから見てうらやましいピルが日本で誕生したのです。
 

EP錠が必要さとれた社会背景

EP錠の発売時期については調べがついていませんが、
元利用者の証言では昭和30年代(後半)の発売だったようです。
女性の社会進出が始まった時期です。
ピルが避妊に広く利用されていた欧米では、
ピルにより生理日を調整することが可能でした。
ところが、日本ではピルは治療薬で手軽に利用することができませんでした。
当サイト旧版には、以下のように書きました。

「お家で寝ているわけには、いかないのだ!!」
この半世紀、生理用品の進歩にはめざましいものがありました。
生理用品の発達が、女性の生活に与えた影響は非常に大きなものがあります。
ナプキンやタンポンがないことを想像できますか。
戦前の女性は、生理日には運動は控えるように、お風呂には入らないようにと教えられていました。
さらには神社に参拝するのも控えるようにと。今では信じられないことです。
生理日があること、それが女性の生活を制約していました。
現代人は大きな自由を享受しています。
しかし、それでも生理日の制約から完全に自由ではありません。
「多忙な現代女性の味方」
お家で寝ているわけにはいかない現代人にとって、ピルは強い味方です。
月によって生理日を少しずつ変えれたらと思う女性は、昔はあまりいなかったでしょう。
でも、現代女性は忙しいスケジュールの中で生活しています。
だから、ピルがお役に立つのです。

ここに書いたような女性が現れ始めたそのころ、
EP錠は発売されたのです。
避妊薬ピルのない日本でEP錠が発売され、
女性の支持を受けたことは必然だったのです。


EP錠その後

日本でピルは一貫して国家管理下にある薬品です。
EP錠の存在はピル国家管理の例外でしたが、
厚生省(当時)はEP錠の市販薬扱いを止めさせ処方薬としました。
その結果生まれたのが、新EP錠という処方薬です。
それとともに、従来からの中用量ピルや黄体ホルモン剤に「月経移動」などの奇妙な「効能」を認めます。
こうして、生理日調整は医師による「治療」として行われるようになります。
新EP錠は数ある「月経移動治療薬」の一つとなり、
精彩を欠いた存在となります。
ピルで生理日の調整ができるという情報も、
日本の女性からだんだん忘れられていきました。
2007年、新EP錠は販売中止となりました。
 

月経移動は「治療」か?

日本では中用量ピルの効能として「月経移動」などが書かれています。
これは世界中で日本だけのことです。
日本でこのことを不思議に思う方は少ないかもしれませんが、
世界から見ればとてつもなく奇妙なことなのです。
たとえば、ある国で食塩を「食欲増進」の「効能」がある「治療薬」としていたら、
だれでも奇妙な国だと思うでしょう。
日本の「月経移動」は、それに近い奇妙さを持っています。
海外では生理日移動はどのように考えられているのでしょう。
生理日調整する薬はピルです。
そしてピルは避妊薬です。
生理日調整したければ、避妊薬ピルを処方してもらいます。
避妊薬ピルに付いているオマケのご褒美(benefit)のひとつが生理日調整です。
オマケ=生理日調整のために避妊薬ピルをもらう人もいます。
避妊薬は治療薬ではありませんから、
誰でももらえるのです。
いわば「避妊」の効能はワイルドカード(万能カード)なのです。
「避妊」の効能がワイルドカードなので、
他はすべてオマケとすることができました。
一方、日本はどうでしょう。
日本のピルは「避妊」の効能を認めていませんでした。
ワイルドカードが存在しないので、
オマケを「効能」として一つずつ書き上げていくしかありませんでした。
このような事情で、ピルの「効能」として月経移動が記載されました。
月経移動という「治療」は、女性にも医師にもとまどいがありました。
ピルを使った生理日調整は、あまり行われなくなりました。


生理日調整する女性の復活

当サイト旧版は、ピルで生理日を調整する方法を詳しく紹介しました。
当時、欧米のピルユーザー向けのガイドブックには、
必ず生理日調整の方法について説明がありました。
当サイトで紹介したのは、より失敗の少ないていねいな方法です。
特別なことを書いたつもりはなかったのですが、
反応は意外なものでした。
一つは、ピルで生理を調整するなど不自然だという女性の反応です。
この反応には、正直驚きました。
もう一つは、低用量ピルは力が弱いので生理日調整はできないはずだ、
と言う医師からのご意見です。
ある病院のサイトにはご丁寧に、
低用量ピルでは生理日調整はできませんと書いてくださいました。
このような反応やご意見はあったのですが、
当サイト発の生理日調整情報はピルユーザーの間に広まっていきました。
 

「妊娠したいなら勝手にどうぞ」

当サイト開設当時、ピルユーザーへの情報提供サイトはほぼ皆無でした。
その後、製薬メーカーなどがピルの情報サイトを開設しました。
しかし、そこには生理日調整の情報は申し合わせたようにありませんでした。
これは2012年現在も変わっていません。
メーカーは、電話相談の窓口も開設しました。
開設当初のあるメーカーの相談窓口で生理日調整について尋ねたユーザーは、
「生理日調整はできない、妊娠したいなら勝手にどうぞ」
と言われたそうです。
しかし、その後メーカー相談窓口の対応は変化していきます。
現在では、どのメーカーの相談窓口でも、
生理日調整の相談に一応は対応するようになっています。
当サイト開設から10年近く経って、
日本産科婦人科学会のある文書は低用量ピルによる生理日調整について記載しました。
当サイトの蒔いた一粒の種子をピルユーザーが育て、
新しいピルの文化として日本に定着しようとしています。

時計を逆回りさせる人たち

上に書いたように海外ではピルは避妊効能の薬で、
月経痛の緩和やニキビの改善や生理日調整のオマケがついているという理解です。
避妊効能が認められていなかった日本では、
オマケをそれぞれ「効能」として列挙してきました。
1999年に避妊効能のピルが認可されて、
やっと日本も海外諸国なみになるはずでした。
ところがピルの国家管理とそれに同調する人たち(ピル村)によって、
時計を逆回りさせる企てが始まります。
彼らは効能として明記されていない目的でピルを使用するのは、
適応外使用であり医薬品副作用被害救済制度の救済対象外になるというのです。
この理屈を最初に言いはじめたのは、ルナベルの開発会社であるノーベルファーマです。
そして、かつての中用量ピルと同様に避妊効能を持たない低用量ピルを誕生させたのです。
ヤーズがこれに続きました。
この論理は、緊急避妊薬ノルレボにも広がっています。



この理屈では、「月経移動」の効能がある中用量ピルでの生理日移動はオーケー、
避妊効能だけの低用量ピルでの生理日調整はNGとなります。 

ピルの治療薬化をくい止めよう

ピルの効能の表記法には2通りの方法があります。
1つは、上で説明した避妊効能ワイルドカード方式です。
これは世界中の国でほぼ例外なく採用されています。
1つは、諸効能列記方式です。
この方式は中用量ピル時代の日本だけでとられていました。
そして今、日本は再び諸効能列記方式に逆戻りしようとしています。
ピルの治療薬化とは、諸効能列記方式とほぼ同義です。
諸効能列記方式はピルの避妊効能を認めない昭和の日本で取られました。
副効果(健康上の利益)という概念は、他の薬剤にはない概念です。
それはピルに避妊効能ワイルドカード方式が採用された結果生じた概念です。
これを換言すれば、諸効能列記方式では副効果という概念が成立しないのです。
そして、諸効能列記方式では効能に明記されていない目的での使用は、
不適正使用だとされてしまいます。
避妊ピルには避妊以外の効能が記されていません。
諸効能列記方式の考えからすると、
ピルを生理日調整に使用するのは不適正使用だとなります。
ルナベルやヤーズには、避妊や生理日調整の効能は記されていません。
諸効能列記方式の考えからすると、
ルナベルやヤーズを避妊や生理日調整に使用するのは不適正使用だとなります。
こんな窮屈なピルの使い方を喜ぶ女性はいません。
昭和のピルへの後戻りを食い止めましょう。

  rurikoの独り言  

当サイトは、開設時(1999年)からピルユーザーの生理日調整法をお伝えしてきました。
それまでの日本には、ノンピルユーザーが中用量ピルで生理日を調整する方法だけがありました。
ピルユーザーが生理日を調整する方法を伝えたのは、
実は当サイトだけでした。
当時は避妊効果がなくなるとか、
低用量ピルでは生理日調整はできないだろうとか、
ずいぶんお叱りを受けました。
しかし、13年の年月を経て、ピルユーザーの生理日調整法はすっかり定着してきたと思います。
当サイトのお伝えした生理日調整法は、
7日ルールと14日ルールをベースにしています。
この2つのルールのどちらを欠いても、
ピルユーザーの生理日調整法は成り立ちません。
いわば、ピルユーザーの生理日調整法と7日ルール・14日ルールは、
表裏一体の関係にあります。
7日ルール・14日ルールに基づく安全なピルの服用法を提唱した当サイトだから、
ピルユーザーの生理日調整法をご紹介できたのです。
当サイトはピルについてのオーソドックスな考えに基づいた情報を提供しています。
ところが、日本では当サイトを異端視する人々がいます。
生理日調整法は日本の「公的な」文書に書かれていない情報ですから、
それを伝えた当サイトは異端と言えるかもしれません。
しかし、当サイトのような異端の存在があるから、
ピルが世界の女性と同じような環境で使えるようになっていくのです。
日本のピルメーカーは現在に至るまで、
ピルによる生理日調整法について表向きは知らん顔をしています。
しかし、電話相談では対応を始めざるをえませんでした。
産婦人科医院でも相談に応じる病院が増えてきました。
学会も低用量ピルによる生理日調整を認めざるを得なくなってきています。
当サイト情報の排除を目的として活動しているピル村親衛隊のNPOも、
生理日調整法を無視できなくなっています。
彼らもちゃっかり生理日調整法は、
当サイトの情報を拝借しているようです。
日本では現在に至るまで、ピル村サイドから生理日調整法が、
積極的に伝えられたことはありません。
ピルによる生理日調整に関する全ての情報のルーツは、
当サイトです。
生理日調整法はピルの文化の一つです。
当サイトは、ピルの文化が日本に定着することを願っています。
だから、どのようなサイトであれ、
生理日調整法を広めてくださることを歓迎します。
ただ、それは7日ルールや14日ルールと一体のものであり、
生理日調整法だけ切り取って利用することはいかがかと思います。
避妊薬ピルは、世界中の国々で女性の生活を応援してきました。
月経痛の悩みのある女性にピルは処方されてきましたし、
生理日調整にも利用されてきました。
日本の女性が世界の女性と同じようにピルを利用できるようにしたい。
これは当サイトの一貫した願いです。
現在、日本のピル利用環境を中用量ピル時代に逆戻りさせる企てが進行しています。
この動きを止めることができるのは、
賢いピルユーザーの存在です。
ピル村情報だけが正しいと盲信する女性が多数を占めれば、
中用量ピル時代への逆戻りは加速するでしょう。
日本の女性が試されているように感じます。

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