なぜピルで避妊できるか?
ピルの仕組み(1)

 

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ピルで避妊できる3つの理由


ピルを飲んでいると妊娠しません。ピルでどうして避妊ができるのでしょう?
ピルで避妊ができるのには、3つの理由があります。
それを説明する前に、女性の性周期とホルモンの関係を簡単に説明しましょう。
下の表の1から4までが、排卵までのことです。
1番上に性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)というのがあります。
このホルモンは、性周期の出発点です。
月経初日から排卵まで分泌されます。
排卵が済むと分泌されません。
なぜ排卵後に分泌されなくなるかというと、
排卵後には黄体ホルモン(プロゲステロン)が分泌されるようになるからです。
黄体ホルモンが分泌されると、性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)は分泌されません。
これがピルという避妊薬を可能にしています。
ピルには必ず黄体ホルモン剤が含まれています。
ピルは月経初日から服用を始めると、
その日から避妊効果が期待できます。
2日目以降に服用を開始すると、避妊効果が出るのにしばらく時間がかかります。
1日目と2日目以降でなぜそのような違いがあるのか、
不思議に思う方もいるでしょう。
その秘密も性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)にあります。
下の表を見ていただくと、
月経初日から分泌されているのは性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)だけなのが分かるでしょう。
月経初日に服用を始めると、全ての出発点である性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)の分泌を弱めることができるのです。


分泌臓器 ホルモン 主要刺激臓器 刺激/抑制 備考
視床下部 性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH) 下垂体 刺激 月経初日〜排卵
下垂体 卵胞刺激ホルモン(FSH) 卵胞 刺激 月経2日目ころ〜排卵
卵胞 エストロゲン 子宮・視床下部 刺激・刺激 月経2日目ころ〜排卵
視床下部 黄体化ホルモン(LH) 卵胞→黄体 刺激 排卵直前。排卵日検査薬はLHを測定
黄体 エストロゲン・プロゲステロン 子宮・視床下部 刺激・抑制 排卵〜月経前。
子宮内膜 絨毛性性腺刺激ホルモン(hCG) 黄体→妊娠黄体 刺激 着床〜。妊娠検査薬はhCGを測定
妊娠黄体 エストロゲン・プロゲステロン 子宮・視床下部 刺激・抑制 着床〜。


ピルで避妊ができる理由

1つ目は排卵が起きません

上の表を見てください。
黄体化ホルモン(LH)によって排卵が起こります。
そして卵胞は黄体に変化します。
この黄体は、エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)というホルモンを分泌します。
黄体ホルモンが分泌されている状態では、
排卵を引き起こすほどの黄体化ホルモン(LH)が分泌されることはありません。
したがって、排卵は起こらないわけです。
このことを利用して、排卵が起きないようにしたものがピルです。
ピルは排卵後と似たホルモン状態を作り出すことにより、
排卵が起きないようにします。

2つめには、子宮内膜が着床に適する状態になりません。
受精卵が着床するには厚くて柔らかな子宮内膜が必要です。
自然の状態ではエストロゲンが子宮内膜を厚くし、
ついでプロゲステロンが柔らかい子宮内膜を作るように作用します。
ピル服用中は最初からプロゲストーゲン(黄体ホルモン剤)が作用しますので、
十分な厚さにならないのです。
これがピルに避妊効果がある2つめの理由です。

3つめには子宮頚管粘膜が粘りけをもつことです。
精子は膣の奥にある子宮頚管をとおって子宮に進入します。
この通り口の粘膜は、黄体ホルモンによって粘りけをまします。
子宮頚管粘膜が粘りけをもつと精子の通過が妨げられます。

ピルによる避妊の仕組みを簡単に説明すると、以上のようになります。
しかし、それはピルによる避妊の仕組みを全て説明しているわけではありません。
上の説明では、次の2つ疑問に答えていません。
1.緊急避妊に使用される高用量の黄体ホルモン剤では排卵が抑止されるのに、
ミニピルに含まれる程度の黄体ホルモン用量では排卵が抑止されないのはなぜか。
2.実験的に高用量のエストロゲンを投与すると排卵が抑制されるのに、
避妊ピルに使用されている程度のエストロゲン用量では排卵が抑制されないのはなぜか。
実は、黄体ホルモン剤もエストロゲン剤も、高用量であれば単独で排卵を抑止できます。エストロゲンは、卵胞刺激ホルモン(FSH)と黄体化ホルモン(LH)に対して負のフィードバックが働きます。したがって、理論上はエストロゲン剤単剤の避妊薬があってもよいのですが、現実には存在しません。高用量のエストロゲン単剤を服用し続けることは不可能だからです。
一方、黄体ホルモン単剤の避妊ピルは現実に存在します。
黄体ホルモン単剤の避妊ピルをミニピルといいます。
日本ではなじみが薄いのですがミニピルについて知っておくことは、
通常の混合ピルの理解にも役立ちます。



 ピルで避妊できる3つの理由
 ミニピルの避妊メカニズム
 ミニピルの服用法
 ミニピルのメリット・デメリット
 ミニピルの進化
 日本の「ミニピル」
 混合ピルというアイディア
 生物的ホルモン活性
 エストロゲン剤の活性


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