なぜピルで避妊できるか?
ピルの仕組み(8)

 

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生物的ホルモン活性


エストロゲンの用量を低下させることが課題となったと書きました。
この課題に応えて、中用量ピル、さらには低用量ピルが開発されていくことになります。
実はこの課題はとても簡単な課題でした。
なぜなら、単純に言うと黄体ホルモン剤の用量を2倍にすれば、
エストロゲンの用量を1/2に減らすことができたからです。
ところが、メーカーはこぞって新規黄体ホルモン剤の開発に乗り出します。
その結果、黄体ホルモン活性のより強い黄体ホルモン剤が開発されていきます。
主要な黄体ホルモン剤の活性を以下に示します。より

生物的ホルモン活性
黄体ホルモン剤 黄体ホルモン活性 アンドロゲン活性 ブランド例
norethindrone
(norethisterone)
1.0 1.0 ノアルテン、オーソM、ルナベル、オーソ777、シンフェーズ、ソフィアA、ソフィアC
norethrindrone
acetate
1.2 1.6 -
ethynodiol diacetate 1.4 0.6 -
levonorgestrel 5.3 8.3 ミレーナ、ノルレボ、トリキュラー、アンジュ
dl-norgestrel 2.6 4.2 プラノバール
norgestimate 1.3 1.9 -
norelgestromin 1.3 1.9 -
desogestrel 9.0 3.4 マーベロン、ファボワール
drospirenone 1.5 0.0 ヤーズ
注;norethindroneを1.0とする相対活性。
from:Dickey R.P.Individualizing Oral Contraceptive Therapy. OBG Management Supplement October
 2000, p 5

第一世代の黄体ホルモンであるノルエチステロン(norethindrone,norethisterone)よりも、
黄体ホルモン活性の強い黄体ホルモン剤が開発されたことがわかるでしょう。
活性の強い黄体ホルモン剤を開発するという課題に対して、
最もよい結果を出したのがレボノルゲストレル(levonorgestrel)です。
レボノルゲストレルは第二世代を代表する黄体ホルモン剤です。
ノルエチステロンとレボノルゲストレルを較べると、
黄体ホルモン活性が5.3倍になっています。
黄体ホルモン活性は飛躍的に高まったのですが、
アンドロゲン(男性ホルモン)活性8.3倍になっています。
このアンドロゲン活性を低下させるというのが、
次の課題となりました。
この課題に応えたのが第三世代ピルです。
デソゲストレルは(desogestrel)はこの課題に応えた黄体ホルモンの代表です。
ドロスピレノン(drospirenone)はさらにアンドロゲン活性をゼロにすることに成功した黄体ホルモン剤です。
ドロスピレノンは第4世代として分類されることが多いのですが、
第3世代の一種と見る考えもあります。
黄体ホルモン剤はそれぞれに異なる性格を持っています。
そのため、多くのブランドのピルが発売されることになりました。
なお、上記の表は、
各黄体ホルモン剤単体の単位重量あたりの活性を示しています。
用量や合剤によって作用が異なってくることは言うまでもありません。

余談:本サイト旧版ではDickey RP.の1994年版を参照し、
その意を汲んで「■ ピルには相性ってあるの?
低用量ピルにも種類があります。各製品の特性を知っていると、
自分に合ったピルを見つけるのに役に立ちます」
というページを作りました。
当サイト開設直後の2000年に改訂版が出ました。
目を通しましたが当サイトを修正する必要がなかったので、
出典は更新しませんでした。
その後、10年あまりの間にDickeyを参照した日本語文献をかなり目にしましたが、
「低用量経口避妊薬の使用に関するガイドライン(改訂版)」を含め、
なぜかそろって1994年版を参照していました。
なぜわざわざ1994年版を参照するのか、
ずっと不思議に感じていました。
なお、ヤーズの黄体ホルモンであるdrospirenoneについては、
1994年版にはなく2000年版にはあります。


孫引きするのは学生レベル、原典に当たるのは院生レベル、関連文献を精査するのは専門家レベル。




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 ミニピルの避妊メカニズム
 ミニピルの服用法
 ミニピルのメリット・デメリット
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 生物的ホルモン活性
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