避妊薬ピルの副作用と副効果
血栓症のリスク(2)

 

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血栓症の頻度


反ピルサイトは、300万人のピルユーザーがいるイギリスで、
1994 - 1997の4年間に50人がピルの副作用(ほとんどは深部静脈血栓症)で死亡したと宣伝していました。
彼らの用いた資料によると、
深部静脈血栓症の関連が疑われる死者は年平均11.5人です。
死亡率を3パーセントとすると、推定発症者数は380人です。
しかし、これは誇大な宣伝ではありません。
深部静脈血栓症は10万人中5人が発症し、ピルユーザーでは15〜25人、
妊婦では60人という数字は一般に認められている数字です。
イギリスのピルユーザーが300万人なら450人から750人が発症する計算となり、
誤差を考えると反ピル団体の宣伝は全くの誇張とはいえないのです。
ただ、トリックがあります。
このデータはイギリスでのデータです。
日本のピルユーザー(中用量ピルを含む)が30万人だとすると、
10年間に150人が発症し10人が死んでいるはずです。
ところが、現実には知られている日本の発症者は数例、死者数はゼロです。
なぜ、イギリスと日本にこれほど大きな差があるのでしょうか。
深部静脈血栓症と肺血栓塞栓症は、黒人・白人に多くアジア人に少ない病気です。
白人では循環器系疾患の死亡原因として上位に位置付き、
国民病ともいわれています。
アメリカにおける深部静脈血栓症の発症者は年間200万人、
死者は6万人です。
対人口発症率は0.6%となり、中国の0.017%などと比べると桁違いに高くなっています。
そのため、この病気に対する関心は非常に高く、
多くの研究が行われてきました。
黒人・白人に多いのは遺伝的素因が大きく関係していますが、
他にも様々なファクターが関係しています。
(Cushman, M. Epidemiology and Risk Factors for Venous Thrombosis,2008参照)
ピルは様々な要因の中の一つです。
そこで問題になるのが、
遺伝的素因と他のファクターの関係です。
遺伝的素因を持っている人では他のファクターが、
発症の引き金となるように見えます。
18-39歳女性では喫煙者は2.03倍リスクが高くなります。
これを遺伝的素因を持っている人で見ると、
リスクは5.05〜6.06倍高くなります。
このことから遺伝的素因を持っている人では、
喫煙が発症の引き金になっていると考えられます。
(Pomp E. R. et al. Smoking increases the risk of venous thrombosis and acts synergistically with oral contraceptive use, 2008参照)

日本のピルユーザーの深部静脈血栓症リスク
血栓症リスクは様々なファクターによって大きく左右されます。
イギリスのデータをもとにしても、あまり意味がありません。
日本では1998年の肺血栓塞栓症による死者は1600人です。(厚生省人口動態統計)
人口あたりの死亡率はアメリカの1/10以下です。
ここから日本の深部静脈血栓症の発症率はアメリカよりかなり低いと推測できます。
日本産婦人科新生児血液学会の調査によると、
深部静脈血栓症の発症率は0.02%(76人/436,084例、産褥期の59人を含む)でした。
イギリスの0.06%と比べると1/3です。
以上のデータから、日本のピルユーザーの深部静脈血栓症発症率は、
欧米よりかなり低いと考えるのが合理的です。
もし、日本のピルユーザーの血栓症発症率を欧米の1/3とするならば、
ピルユーザーの血栓症発症は10万人につき5人から8人程度、
欧米の1/10とするならば10万人につき1.5人から2.5人程度と推測されます。

今後さらに低下する日本のピルユーザーの深部静脈血栓症リスク!?
当サイト旧版執筆時、反ピル派が指摘するような血栓症問題は日本では起きないだろうと思いつつ、
確信が持てませんでした。
ピルの服用や妊娠は、血栓症の引き金となります。
深部静脈血栓症の遺伝的素因を持っている人では、
服用1年以内あるいは最初の妊娠で引き金が引かれてしまいます。
服用1年を経過するとあるいは最初の妊娠を経験すると、
血栓症発症リスクは格段に低下します。
欧米の深部静脈血栓症発症率データは、
血栓症発症リスクが格段に低下した人を含んでいます。
つまりフィルターを通り抜けた人が多く含まれるデータです。
一方、日本ではこのフィルター効果がないので、
発症率が高く出るかもしれないと心配したのです。
ピルの導入期を経過した今後の日本では、
ピルユーザーの血栓症発症率はさらに低下していくはずです。





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