避妊薬ピルの副作用と副効果
血栓症のリスク(3)

 

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第3・第4世代ピルの血栓症問題


1995年、第3世代ピルは第2世代ピルと比較して、
血栓症リスクが高いとの報道がなされました。
これに過敏に反応したのが、イギリスと日本です。
イギリスでは第3世代ピルに対する規制措置が取られ、
パニックが生じました。
これをピル恐慌(1995 pill scare)といいます。
第3世代ピルの血栓リスク問題については、
現在に至るまで延々と議論が続いています。
当サイト開設の1999年当時、
すでにイギリスの薬事委員会は第3世代ピルについて規制の必要はないとの見解を表明していました。
Medicines Commission advice on third generation oral contraceptives and risk of venous thromboembolism
その後、第4世代ピルについても、第2世代ピルより血栓症リスクを高めるとの研究が発表されました。
しかし、1995年のピル恐慌の再現はありませんでした。
第2世代ピルと第3・第4世代ピルに血栓症リスクの違いがあったとしても、
驚くほどの差ではないことが理解されていたからです。

日本人の血栓症リスクはイギリスの1/3かそれ以下でしょう。前ページ参照
とすると、10万人あたりの深部静脈血栓症の発症リスクは、
ノンピルユーザー 1.6人
第2世代ピルユーザー 4.8人
第3・4世代ピルユーザー 8.0人
妊娠 19.2人
と推測できます。
(10万人を10万円に置き換えて考えると、10万円中の1.6円・4.8円・8円の違い。)
これは無視できる差ではないかと思います。


この差を無視できないと考える例外的な国が2つあります。
一つはイギリスです。
イギリスの薬事委員会がこの差は無視できるとの見解を表明していることは、
上に書いたとおりです。
ところが、イギリスのガイドラインは初めてピルを服用する人について、
ユニークな考え方を表明しています。
すなわち、初めてピルを服用する人には、
「@第1世代または第2世代のA1相性ピルを奨める」としています。
もう一つの国が日本です。
日本のガイドラインは改訂版においても、
イギリスのガイドラインを引き合いに第3世代ピルの処方制限を続けています。
日本とイギリスでは血栓症リスクのレベルが違うことには、
全く顧慮していません。
一方、イギリスのガイドラインを参照したとしながらも、
1相性ピルについては無視しています。
当サイトは、イギリス以外の国がこのような規制を行っていないことを重視します。
@については日本での深部静脈血栓症の発症リスクが低いことを考慮すれば、
必要のない規制と考えます。
Aについても規制するまでもないことと考えます。
ただ、ユーザーに一定のアドバイスがあってもよいと考えます。
当サイトで、3相性ピルのトリキュラー・アンジュについて、
生理初日の服用開始が好ましいと書いてきたのはそのためです。


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以下は、現時点におけるrurikoの個人的な見解です。
第3・第4世代ピルの血栓症リスクについては、
リスクの程度を検証する研究が中心で、
その結論にも相当の幅があります。
当初、サンプルの偏りによるのではないかとの見方が多くありましたが、
その後の研究を見るとサンプルの偏りだけでは説明できないように思います。
現在、欧米人で10万人あたり25人とする考えがコンセンサスとなりつつありますが、
妥当ではないかと考えます。
第3世代ピルに続いて、第4世代ピルにも血栓症リスク増大の指摘が行われたことは、
示唆深いと考えます。
これまで、新しい世代のピルが第2世代ピルと較べて血栓症リスクが高くなるとしても、
その理由が説明できませんでした。
血栓症リスクを高めるといわれているピルの共通点は、
アンドロゲン活性の弱さです。
下は、アンドロゲンの防御壁仮説を図示したものです。

アンドロゲン防御壁仮説−孫引き防止にglobulin(s)

性ホルモン結合グロブリンには、アンドロゲンやプロテインSを弱める作用があります。
アンドロゲンの少ない第3・4世代ピルでは、
性ホルモン結合グロブリンがプロテインSの作用をより弱めるように作用し、
その結果プロテインSのレベルが低下して血栓が生じるという仮説です。
また、アンドロゲン作用の強い第2世代ピルではアンドロゲンがエストロゲンに拮抗し、
第3・第4世代ピルではエストロゲンに対する拮抗力が弱いために、
結果的にエストロゲン作用が強く出るのかもしれません。
低用量ピルと超低用量ピルの比較など、
更に詳しい分析によりメカニズムが解明されていくと考えます。






血栓症とは
血栓症の頻度
第3・第4世代ピルの血栓症問題
こんな血栓症の兆候に注意
網膜静脈血栓症/網膜血管病変
血栓症のリスク評価とガイドライン



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