避妊薬ピルの副作用と副効果
ピルの服用と癌のリスク(6)

 

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ピルの服用による子宮頸癌リスクの増加


子宮頸癌について、『低用量経口避妊薬の使用に関するガイドライン(改訂版)』は、以下のように記述しています。

e.子宮頸癌
浸潤性子宮頸癌および頸部上皮内腫瘍(IIまたはIII)のある女性を対象とする症例対照研究およびコホート研究による最近の系統的レビューによれば、OCの服用期間の長期化とともに浸潤性および非浸潤性の子宮頸部疾患リスクが増加したとの報告がある。HPV(ヒト乳頭腫ウイルス)感染、性交渉パートナー、バリア避妊法および子宮頸部スクリーニングなどのバイアスを考慮しても、結果は変わらなかった。女性に対しては、5年未満のOC使用では子宮頸癌のリスク増加はごくわずかであるが、服用期間によってはリスクが増加する可能性があると指導する必要がある。子宮頸部細胞診スクリーニングが行われたことによる子宮頸癌の死亡率は低下していることから、女性に対して定期的に子宮頸部スクリーニングを受けるように勧めるべきである。
( 5)5年未満のOC使用は子宮頸癌リスクを増加させないが、5年以上使用するとリスクが増加すると指導するB。

子宮頸癌についてのデータは、以下の通りです。

子宮頸癌リスク(10万人中)
 − ピル服用経験なし ピル服用経験あり  相対リスク(95%CI) 
死亡 4.02  5.38   1.34(0.74-2.44)
 罹患(全データ) 11.19 15.48 1.33(0.92-1.94)
  罹患(開業医データ) 13.15 21.44 1.49(0.97-2.28)
服用期間4年未満 15.43 1.10(0.64-1.90) 
服用期間4年−8年 20.26 1.45(0.84-2.49)
服用期間8年以上 38.12 2.73(1.61-4.61)
服用中/経過5年未満 27.89 1.99(1.26-3.15)
経過5年−10年 17.41 1.25 (0.65-2.39)
経過10年−15年 35.41 2.53 (1.11-5.77)
経過15年−20年 9.03 0.65(0.23-1.83)
経過20年以上 10.88 0.78 (0.11-5.71)
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC1995533/pdf/bmj-335-7621-res-00651-el.pdf

ガイドラインは、5年未満と5年以上を分けて説明しています。
上の表は4年刻みですが5年以上でリスクが高まるのはその通りです。
ただ、これには少しからくりがあります。
子宮頸がんは、HPV(ヒト乳頭腫ウイルス)感染によって引き起こされます。
HPV感染リスクはピルユーザーとノンピルユーザーで、
多少違ったとしてもおそらくそれほど大きな違いはありません。
上の表で死亡や罹患を見ていただくと、
ピルユーザーで相対リスクは高くなっていますが、
わずかながらCIは1.00を越えないレベルです。
つまり、統計的に有意とはいえないのです。
HPVウィルスは非常にありふれたウィルスですから、
性的活動のある女性ならば誰でも感染のリスクを持っています。
常にコンドームを使用しているから感染してないとも言い切れません。
避妊方法と子宮頸がんを結びつけて考える人が男性にも女性にも、
そしてピルユーザーにもいるのですが、
罹患の相対リスク1.33、95%CIが0.92-1.94
はそれが妄想であることを示している数字です。
離島でひとり暮らしをしているとインフルエンザにはかかりません。
アパートで引きこもり生活をしていると、インフルエンザにかかるリスクは低くなります。
しかし、普通に生活している人では、インフルエンザにかかるリスクはそれほど変わりません。
HPVウィルス感染のリスクはそれに似ていると考えてよいでしょう。
ここまでは、感染の話です。

HPVウィルスについては、感染と罹患(がん細胞の発生)は分けて考える必要があります。
HPVウィルスに感染するとすぐに癌が発生するわけではありませんし、
誰でも癌が発生するわけではありません。
HPVウィルス感染は性感染症の一種と言われますが、
この点は他の性感染症と異なります。
誤解を恐れずに書けば、
HPVウィルスに感染している人はざらにいて、
そういう人の中で一定年月が経ち一定の体調になると癌化が起きるというイメージです。
このことを理解して、上の表を見て下さい。
服用期間が長いほど相対リスクが高くなっています。
これは感染から癌の発生までに時間がかかることと関係しています。
服用期間の長い人ほど、感染機会からの時間経過が長いわけで、
それがこのような結果となって現れています。
もう一つ、服用中止後10-15年経過で発生がピークとなっています。
この中には40歳前後の人が多く含まれます。
HPVウィルスに感染していても若いときには癌化が生じにくいのに、
一定年齢を過ぎると癌化が現れやすくなります。
このような事情が、この数字になっています。

ピルユーザーの場合、性的活動の開始=感染機会の開始とピルの服用開始がほぼ一致しています。
そのため、服用期間や服用中止後の経過年数などでグルーピングすると、
癌化の時期と一致してしまいます。
ピルユーザーで子宮頸がんが多いように見えるのは、
このようなからくりが絡んでいます。





癌による死亡率
ピルの服用による卵巣癌リスクの低下
ピルの服用による子宮体癌リスクの低下
ピルの服用による大腸癌・直腸癌リスクの低下
ピルの服用による乳がんリスクへの影響
ピルの服用による子宮頸癌リスクの増加
髄膜腫(片頭痛の症状)について注意!!


循環器・消化器・肝臓疾患による死亡率



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